「日本酒といえば、やっぱり辛くてなんぼ」
「日本酒の甘さが苦手」
この記事は、そんなあなたに向けて書いています。
こんばんは。
さるあみ改め、いしかわです。
日本酒の甘さが苦手だって人、意外と多いですよね。
砂糖とはちがった甘さですし、食事に合わせづらいのも理由のひとつだと思います。
ですが何より、これもひとつの理由ではないでしょうか?
“日本酒度の曖昧さ”
これが人を惑わせるんですよね。
日本酒度って0を基準にして、プラスにいくほど辛いとされています。
+1はまだ『中口』。
+2は『やや辛口』。
+3~5あたりは『辛口』と呼ばれることが多いです。
でも+3~5なんて、誤差に感じませんか?
「辛口って書いてるけど、私には甘い」
「これのどこが辛口?」
+1だろうと+6だろうと、日本酒の甘みが完全になくなることはありません。
なので、甘いと感じるのは当然ともいえます。
ですが、さらに上。
もっと上の数値ならどうでしょうか?
どのくらい甘みが抑えられているのか気になりますよね。
この記事では、+6よりもさらに上。
大辛口にあたるものだけを8本紹介していきます。
これならきっと、辛口好きのあなたにも刺さるはずです。
長い記事になります。
スキマ時間で読めるようにブックマークして、あなたのペースで読み進めてくださいね。
それではいってみましょう。
辛口の日本酒を選ぶときのポイント
辛口の日本酒を選ぶときに見てほしいポイントは2つあります。
- 日本酒度
- 酸度
日本酒度とは、おおよその甘辛度を示す数値です。
0を基準としてマイナスなほど甘く、プラスなほど辛くなるとされています。
- -25(頭おかしい超甘口)
- -6~(大甘口)
- -3~(甘口)
- ±0(中口)
- +3~(辛口)
- +6~(大辛口)
- +25(頭おかしい超辛口)
一般的なお酒の日本酒度は、マイナスでもプラスでも数字は一桁。
特に出品用の日本酒ともなれば、大きく数値が高くなることもありません。
なので、今回紹介する日本酒は相当偏っています。
それだけにおもしろい日本酒ばかりなので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
そしてもうひとつの数値。『酸度』
酸度はそのものズバリ、酸の度合いをあらわします。
低ければ甘みがスムーズに感じられ、高ければ逆に甘みを感じづらくしてくれます。
「日本酒度がマイナスなのに甘みが少ない」
そんな日本酒に出会ったら、もしかしたら酸度の数値が高いのかもしれません。
とはいえラベルに酸度まで書いてある日本酒って、そんなに多くはありません。
なので、書いていれば参考にするくらいで大丈夫です。
まず見るべきは『日本酒度』。
書いてあれば『酸度』も。
といった優先順位で、ラベルを読み解いてみてくださいね。
辛口でおすすめな秋田の日本酒8選
それでは早速、日本酒度の低い順で紹介していきます。
特別純米酒 うまからまんさく(日の丸醸造)
『特別純米酒 うまからまんさく』は、横手市にある日の丸醸造がつくる1本です。
日本酒度は、+8。
立派な大辛口にあたりながらも、今回紹介するなかではいちばん低い数値となります。
味わいはまさに「うまから」。
しっかりとした辛さに、しっとりとしたうまみがよく乗ります。
毎日の食卓って、名前のない料理がならぶことも多いですよね。
あるものを炒めただけ。
○○がないから○○を代用した何か。
そんな飾らない料理に、『うまからまんさく』はよく合います。
ちなみに……
日の丸醸造は『まんさくの花』が有名な酒造ですが、蔵人たちが好んで飲むのはこの1本。
毎日の晩酌でいちばん飲まれている銘柄が、この『うまからまんさく』なんですよ。
福小町 純米辛口(木村酒造)
『福小町 純米辛口』は、湯沢市にある木村酒造がつくる1本です。
日本酒度は、おなじく+8。
こちらも今回紹介するなかではいちばん低い数値となります。
純米辛口の大きな特徴は、燗映えするところです。
『燗』と言われる身構えてしまうかもしれませんが、自宅で自分が飲むんです。
レンチンしちゃいましょう。
700Wで40秒。
たったそれだけで、飲みやすさが大きく変わります。
300ml瓶もあるので、まずはお試しを。
天の戸 純米酒 醇辛(浅舞酒造)
『天の戸 純米酒 醇辛』は、横手市にある浅舞酒造がつくる1本です。
日本酒度は、+9~10。
+6から先が大辛口になるので、二桁ともなると手に取れない方も多いのではないでしょうか。
『天の戸』シリーズの定番品には『美稲』『吟泉』があり、
- 美稲:食中酒として有名
- 吟泉:コスパの高さで有名
特に『吟泉』は720mlが1000円ほどで買えてしまうので、スーパーでは売上1位を争うほど。
そのため、上記の2本と比べると『醇辛』は見劣りしてしまいます。
実際、私も日本酒を飲みはじめた頃は見向きもしませんでした。
ですが今、胸を張って言えます。
おすすめだ、と。
刈穂 山廃純米 超辛口(秋田清酒)
『刈穂 山廃純米 超辛口』は、大仙市にある秋田清酒がつくる1本です。
日本酒度は、+12。
ラベルにも大きく書かれているため、この数値が『ウリ』なのだとわかります。
『刈穂 山廃純米 超辛口』の大きな特徴は、伝統を残しているところです。
デザインも味わいもクラシック。
スーパーやコンビニから消えることのない、昔から選ばれている1本です。
個人的にはおなじ世代。そして、私よりも下の世代にはあまりおすすめしません。
やっぱり伝統色が強すぎます。
うまみと呼ぶべきか、雑味と呼ぶべきか。
重く感じてしまう部分がグラスを遠ざけるんです。
300mlサイズもありますので、まずはそちらからお試しください。
ゆきの美人 純米酒 完全発酵(秋田醸造)
『ゆきの美人 純米酒 完全発酵』は、秋田市にある秋田醸造がつくる1本です。
日本酒度は、+12~15。
数値のバラつきには理由があります。
秋田醸造の特徴は、小さなタンクで小さく仕込むところ。
大きな蔵と比べると、一度にできる量は少なくなります。
そのため量をつくる場合は、おなじ銘柄でもタンクを分けてつくらなければなりません。
しかも、日本酒づくりは生き物が相手です。
温度、天気、季節によって発酵の度合いも変わってきます。
年間とおして酒づくりのできる秋田醸造とはいえ、夏と冬ではまったくおなじ環境とはいえません。
なのでタンクがちがえば、数値には少なからずバラつきが出てしまうのです。
とはいえ、数値を誤差の範疇までもっていけるのはプロの技。
NEXT5のリーダーとして活躍されている蔵ならでは……なのではないでしょうか。
純米 ど辛(山本酒造店)
『純米 ど辛』は、八峰町にある山本酒造店がつくる1本です。
日本酒度は、+15。
つかっている酵母の名前や直球なネーミングも話題となり、「名前は知ってる」という方も多いのではないでしょうか。
この『ど辛』ですが、いたずらにうんちくは垂れません。
ただ、これだけ言わせてください。
この『ど辛』は、日本酒を飲まない友人を日本酒の世界に引き込んだ1本です。
ほかのお酒ではダメ。
『ど辛』の辛さでなければダメでした。
+15という辛さが、彼に好みに突き刺さったんです。
ひとりの男性を虜にした日本酒。
この機会に興味をもってみてはいかがでしょうか?
ゆきの美人 純米吟醸 山田錦6号酵母 超辛(秋田醸造)
『完全発酵』を紹介した秋田醸造からもう1本。
『ゆきの美人 純米吟醸 山田錦6号酵母 超辛』は、年4回発売の日本酒です。
日本酒度は、+16~19ほど。
今までなんとなく『ゆきの美人=辛口』というイメージはあったかと思います。
ですが、なんとなくでした。
「辛口な日本酒が多いな~」程度。
そんな『なんとなく』のイメージを『確信』にまで持っていったのが、この『超辛』です。
この1本、辛いです。
遊びのない超辛口。
和食の味わいに一切の口を挟まない、見事な食中酒に仕上がっています。
刈穂 超弩級 気魄の辛口 山廃純米生原酒(秋田清酒)
これはヤバい。ここまで取り繕ってきた文章が砕けるほどに、ヤバいです。
秋田清酒の歴史と技術が詰まった奇跡の1本。
日本酒度はなんと、+25です。
控えめにいっても県下一の辛さ。
私の知るかぎりでは、全国でも2番目のはずです。
(1番を知りたい人は『六歌仙 爆雷』で検索だ!)
いったいどうすればここまで辛さを引き出せるのか。
飲む前からすでに恐ろしく、飲んでからも恐ろしい1本でした。
ちなみに、取り扱いは全国に数十店舗ということで、ごく限られた酒屋さんのみでの販売となります。
秋田市でも見かけることは少なく、私はアトリオン地下にある『あきたの』で購入しました。
珍しさと話題性を兼ねそなえた1本です。
ぜひ一度、怖いもの見たさで試してみては?
まとめ:辛さはもはや好みの世界。あなたに合った辛さを見つけてね。
いかがだったでしょうか?
+8でも十分な辛口なのですが、このラインナップだと可愛く見えてしまいますよね。
ちなみにですが私のイチオシは、最初に紹介した『うまからまんさく』です。
なぜなら、
“うまみもしっかりと感じられるから”
行き過ぎた辛口のなかには、どうしても「辛いだけ」のものもあります。
ぶっちゃけた話、辛いだけなら日本酒じゃなくていいんですよね。
日本酒だからこそ出せる味わい。
お米のうまみや甘みを残して、甘くない。
そんな『ちょうどいい』が、『うまからまんさく』にはあります。
毎日飲むならシンプルに。
どこでも買えてコスパもよく、食中酒になるものを。
それらを満たした『うまからまんさく』が、私は好きです。
あなたの感想はいかがでしょうか?
突き詰めたもの。
突き抜けたもの。
辛口にもさまざまあります。
ぜひ、秋田の幅広い味わいを楽しんで、あなたの好みを見つけてくださいね。
ではでは!