こんばんは、いしかわです。
白麹だけでなく、ついに黒麹までもが日本酒の世界に登場しましたね。
白麹はクエン酸が豊富で、酸が豊かな日本酒に仕上がります。
たとえば、新政の亜麻猫。それに飛良泉の『飛囀』シリーズでしょうか。
どちらも透明感のある味わいのなかにレモンのような酸が効いていて、好きな人にはたまらない1本です。
が、しかし。ところがどっこい。
今回は黒麹。
主に焼酎につかわれる麹です。
寒冷地に適した日本酒とは逆をいく、温暖な地方をイメージする麹です。
はたして、この出会いがどんな化学反応を生んだのか。
ちょっと詳しくみていきましょう。
『天の戸 天黒 黒麹仕込 純米原酒』ってこんなお酒
今作は、鹿児島の焼酎蔵『大海酒造』さんとの交流により実現した1本です。
『大海酒造』といえば有名なのが、『海』そして『くじらのボトル』でしょうか。
秋田県のスーパーや酒販店でも買うことのできる、全国に名の轟く銘柄です。
特に『くじらのボトル』……
好きだったなあ。
という私個人のお話はさておき、話を戻しましょう。
日本酒につかわれるのは主に黄麹ですが、最近は白麹をつかった日本酒も目立ってきましたよね。
明るい酸味が特徴で、おもわずレモンやグレープフルーツに例えたくなる味わいです。
白麹の登場によって『酸度』の幅が広がり、日本酒のトレンドも大きく変わったのではないでしょうか。
ですが、黒麹。
黒麹はどうなのか。
日本酒との相性はいかがなものだったのか。
その答えは海外にありました。
なんとこの『天の戸 天黒』……
『KuraMaster2024』『MILANO SAKE CHALLENGE2024』において、最高賞であるプラチナ賞を獲得しているんです。
『KuraMaster』は、2017年より始まったフランス開催のコンクール。
フランス人によるフランス人のためのコンクールで、審査員には一流ホテルのソムリエやレストラン関係者など、飲食業界のプロがずらりと並びます。
2024年の総出品数は1223銘柄と、日本での認知度。そして、酒造から見た重要度も高まってきているコンクールなんです。
そして『MILANO SAKE CHALLENGE』ですが、こちらは2019年より開催の新進気鋭。
「イタリア料理とのペアリングの可能性」と「日本酒文化をより深く知ってもらうため」に開かれています。
部門は3つに分かれており、
- イタリア人ソムリエによる『酒テイスティング審査』
- イタリア食材との『フードペアリング審査』
- 著名デザイナーによる『デザイン審査』
『天の戸 天黒』は、1番の『酒テイスティング審査』においてプラチナ賞を獲得しました。
いずれのコンクールにも共通するのは、現地の飲食のプロが審査員であること。
そして、フードペアリングに重きを置いていることです。
フランス、イタリアといえばワインの二大産地。
ワインの酸は赤、白ともに重要な味わいで、ペアリングの肝を担います。
そんな国々で『黒麹』をつかった『天の戸 天黒』が評価された。
この時点ですでにワクワクしちゃいますよね。
もうテイスティングせずにはいられませんので、さっそく味の感想にいってしまいましょう。
『天の戸 天黒 黒麹仕込 純米原酒』を飲んでみて
この1本の味わいを一言であらわすのならこうなります。
“酸味がやや苦のコク旨”
色味は梅酒や古酒のようにややコハク色を帯びていて、香りからも酸が立ちます。
口当たりは、ビターでまろやか。
やや苦みを伴ったタッチから、じっくりとコク旨な酸味が上がってきます。
これ、白麹の明るい酸味とはまったく違いますよ。別物です。
たぶん黒麹との相性の問題だとは思うのですが、『寝かせ』が酸の旨みをグーンと増してくれています。
なんでしょう、癖になる感じです。
色味、味わいから明らかに熟成を感じるのに、不思議と重くありません。
飲みにくさがないんです。
古酒が好きな人には『枯れ』がないかもしれませんが、梅酒が好きな人には刺さりそうな1本でした。
イタリア、フランスで評価されているところに申し上げにくいのですが、個人的にはお酢をつかった濃いめの味付け。
アジの南蛮漬けやチキン南蛮。
ミツカンの公式サイトでレシピを探してみたのですが、『豚肉とトマトと卵の甘酢炒め』なんかも良さそうですね。
さっぱりとした酢の物では日本酒のコクに負けてしまいそうなので、ぜひ濃いめで。
主役になるお酢料理に合わせてみてくださいね。
『天の戸 天黒 黒麹仕込 純米原酒』の商品情報
- 使用米:秋田県産『星あかり』100%
- 精米歩合:60%
- 酵母:自社酵母
- アルコール分:16%
- 日本酒度:-6.1
- 酸度:3.5
- 参考価格720ml:1,815円
※日本酒度、酸度は公式サイトより引用
まとめ:日本酒も多様性の時代。トレンドはもう存在しないのかも。
『酸』や『低アルコール』など、日本酒のトレンドは目まぐるしく変わってきました。
最近ではクラフトサケの台頭もあり、副原料にフルーツをつかう蔵も出てきたほどです。
試みはさまざま。多種多様。
同じような酒はあれど、同じ酒はない。
そんな令和の、今のトレンドはなんなのか。
ある蔵人に尋ねてみると、こんな答えが返ってきました。
「日本酒も多様性の時代だよね」
これは言い換えれば、『挑戦』の時代。
蔵に新しい風を通すことが、令和のトレンドと言えるのではないでしょうか。
その点でいえば、『黒麹』はまさに新しい風。
ぜひ、浅舞酒造の挑戦を。
『天の戸』に吹く新たな風を、あなたも楽しんでみてくださいね。
それでは今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ではでは。
※飲みやすい日本酒でまとめているので、そちらも合わせてチェックしてみてね。