こんばんは、いしかわです。
まるでワインのような美しさのラベル。
『sasanqua-さざんか-』
この1本には『困難に打ち克つ・ひたむきさ』という花言葉だけでなく、蔵人の思いも詰まっています。
おいしいだけでは終わらない1本。
ちょっとだけ紐解いていきましょう。
『出羽の冨士 純米吟醸sasanqua-さざんか-』ってこんなお酒
『出羽の冨士 純米吟醸 sasanqua-さざんか-』は、矢島町にある佐藤酒造店がつくる1本です。
使用しているお米は、秋田県産美山錦が100%。
精米歩合は60%となります。
酵母は非公開です。
2020年のものは“4種の酵母をつかったアッサンブラージュの日本酒”だったのですが、2022年のものにはその情報がありません。
なので、「毎年おなじ造りなのかはわからない」というのが正直なところです。
といった感じで『sasanqua-さざんか-』、情報がほとんどございません。
あなたに伝えられることがあまりにも少なすぎるので、ここから挽回していきますっ。
実際に飲んでみて:芯まできれいな甘みがたまらない
出羽の冨士さんらしい、芯まできれいな甘み!
その力強さには秋田酒こまちとはまた違った魅力があります。
コクのある甘みなのに、透明感。
たまりません。
酸味はというと、あるけども余韻として強いイメージです。
ちょっと独特なあと味が「たま~に」来ます。
これが不思議で。
必ずではないんです。
たまに来る酸味由来の余韻が、なんだか花のようにも感じられます。
「もしかして、名前に引っ張られてるだけ?」
「私しか感じないやつ?」
と、突けばどんどん自信がなくなっていきますが、それでも言わせてください。
「余韻は、あります!」
なんとか細胞のように声高に叫んでしまいましたが、この余韻も含めておいしかったので声も大きくなるもの。
やっぱり思います。
出羽の冨士さんの出す甘みって、すごく好きです。
甘みの引き出し方でいえば県下一なのではないかと思っています。
それくらい、好きです。
『出羽の冨士 純米吟醸sasanqua-さざんか-』の商品情報
- 使用米:秋田県産美山錦100%
- 精米歩合:60%
『sasanqua-さざんか-』に蔵人の渋谷さんが込めた思い
ここに2020年発売のものの裏ラベルに書かれた文章を、そのまま記載させてください。
子供の頃、歌謡曲が好きな祖母のそばで大川栄策さんの「さざんかの宿」を聴き、歌詞にドキドキしていた新人蔵人の渋谷(36歳)です。さざんかは冬の花です。花言葉は、「困難に打ち克つ・ひたむきさ」……今の私たちにぴったりだと思い、この名を付けました。ほのかな果実香、やわらかな口当たり、ジューシーな酸味とコクのある甘み、そしてビターな味わいは、あの時のドキドキを思い出させると同時に懐かしさを感じさせてくれます。
引用元:sasanqua-さざんか-裏ラベルより
実はこの1本、当時はまだ新人だった渋谷志麻さんがデザインしたものです。
季節は冬。
そして、コロナ最盛期でもあります。
当時は酒が悪とされ、酒造は計り知れないダメージを受けていました。
畳む蔵こそなかったものの、畳んでもおかしくはない状況だったんです。
そんな渦中に登場した『sasanqua-さざんか-』。
花言葉に込められたのは、強い意志でした。
私は渋谷さんのインスタグラムを拝見してお伝えしているので、直接お話を聞いたわけではありません。
ただ、そこに綴られているお祖母さんとの思い出は温かく、熱を帯びた1本なのだと伝わってきます。
私が購入したのは2022年のものです。
新発売からは2年の月日が流れました。
そのため、変わることも多々あります。
たとえば、酒を巡る状況。
悪だとされた酒へのバッシングは好転し、いまは制限のない生活を送れています。
渋谷さんを取り巻く環境にも変化があったそうです。
それはきっと、一般的には好転と呼べないもの。
ですが、渋谷さんはインスタグラムのなかでポジティブな発言をし、温かみのある投稿をされています。
「思い出は色褪せないのだな」と、魂ゆさぶる投稿をされているのです。
それを私の言葉で伝えることはできません。
なのでもしあなたがインスタグラムをやられているのであれば、ぜひ検索してみてください。
そうして渋谷さんのことを。
そして、出羽の冨士という蔵を知ってみてください。
その興味はきっと、あなたに新しい出会いをくれますから。
まとめ:思い出と気持ちを込めた、ママ蔵人ならではの1本
私、気持ちの入ったお酒に弱いです。
そういうお酒が好きです。
気持ちの入っていないお酒を知っているので、なおさら好きなんです。
だからこそ、『sasanqua-さざんか-』はもっと知られてほしい。
秋田市内で探すのはちょっと難儀するかもしれません。
ですが、もしあなたがすでに見つけているのなら。
すでに興味をもって下さっているのなら。
この1本は、買いです。
ぜひ手に取ってみてくださいね。
それでは今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
いしかわでした。