こんばんは、いしかわです。
まんさくの花の亀ラベルシリーズって、ラベルに味があっていいですよね。
文字だけのラベルよりも可愛らしいですし、ひと目で亀の尾を使用していることもわかります。
とはいえ、だからこそ。
『亀の尾』だからこそ手が伸びないという方もいるはずです。
もしあなたがそうならば、安心してください。
この1本、いい意味で寝かせが効いてます。
ちょっと詳しく見ていきましょう。
『まんさくの花 生もと純米吟醸 亀ラベル』ってこんなお酒
2001年より地元農家と協力してスタートした、県産『亀の尾』を使用した『亀ラベル』シリーズ。
1年のラスト。あるいは年明け1本目を飾るのが、この『生もと純米吟醸』です。
大きな特徴としては、『秋田流生酛仕込み』を用いてるところでしょうか。
『人工の乳酸』ではなく『自然界の乳酸』をつかって発酵をうながす、時間と手間のかかる手法です。
とはいえそれは、あくまでも『生酛』の説明になります。
大切なのはこちら。『秋田流』
わざわざ流派が書いてあるのはなぜなのか。
ちょっとだけ紐解いちゃいましょう。
実は秋田流生酛って、人力を電動化した手法なんです。
日本酒の素とも言える酒母をつくる際、蒸したお米をすり潰してからタンクに入れます。
そのとき、すり潰す工程は『人力』。
身の丈よりも長い棒をもちいて、決められた時間までひたすらすり潰します。
これが、キツイ。
それを小分けにして何度も行うのだから、なおさらキツイんです。
しかも、小分けにした分、蒸米が何度も空気にふれてしまいます。
雑菌にふれる回数が増えてしまうんです。
これらのデメリットを、なんとかしたい。
そうして生まれたのが『秋田流生酛仕込み』。
電動ドリルをつかう方法です。
小さいタンクに必要な蒸米をすべて入れて、電動ドリルでドゥルルルル。
こうすることで人力の負担を軽減し、さらには空気にふれる回数をも減らすことに成功しました。
この方法は、太平山。小玉醸造発祥です。
そしてもうひとつ。
これに触れずに次へは行けません。
『亀の尾』
実は、酒米ではありません。
ホントは『飯米』。
今をときめく『コシヒカリ』や『あきたこまち』も、ルーツを辿れば『亀の尾』にあたります。
そんな『亀の尾』ですが、さすが飯米。
粒が大きくて、よく磨けばきれいな酒質に。
低精白なら日常向けのうまみある1本にと、さまざまな顔を見せてくれます。
ベースの味わいは同じでも、細部でちがう。
蔵の味と色を出してくれる酒米です。
『まんさくの花 生もと純米吟醸 亀ラベル』を飲んでみて
この1本の味わいを一言であらわすのならこうなります。
“亀の尾の酸と生酛の酸に、ふんわり広がる苦みと渋み”
これ、おいしいです。
『亀の尾』といえばシャープな後味。苦み渋みがビターな後味を生んでいる印象がありました。
ですが、この1本にはそれがないんです。
苦み渋みの角が取れていて、酸のうまみがギュッと濃厚。
約1年に渡る『寝かせ』が、じっくり飲みたい落ちつきをくれています。
甘みはそれほど感じません。
お酒は20歳からとはいえ、この『亀の尾』は大人。
片肘ついて単体でじっくり飲みたい1本です。
ちなみに熱燗、超オススメです。
渋みが取れてうまみが増します。
さえぎる味わい、引き締める味わいがなくなるので、『寝かせ』をダイレクトに感じられますよ。
『まんさくの花 生もと純米吟醸 亀ラベル』の商品情報
- 使用米:亀の尾100%
- 精米歩合:55%
- アルコール分:16%
- 日本酒度:+0.5
- 酸度:2.2
- アミノ酸度:1.4
- 酵母:協会9号
※2025年のものを参照
まとめ:新酒の季節に現れる、寝かせの1本。落ちつきに、ほっ……
実は私、亀の尾の渋みがあまり好きではなくて、どの蔵から生酒が出ても避けていました。
もちろん、中にはおいしいと感じたものもあります。
ですがやっぱり好みの世界。
あえて買おうとは思わなかったんです。
ところがどっこい。
どっこいですよ。
今回、たまたま妹の友人からいただく機会があって。
飲んでみるとおいしいったらありません。
自分だけでは避けていたであろう1本。巡り合わせてくれた妹の友人に感謝です。
本当に、ありがとう。
ということで、今回はここまでです。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ではでは!
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