こんばんは、いしかわです。
「まず、どこの蔵のお酒なの?」
そんな疑問が聴こえてきそうなお酒ですよね。
木村酒造の『角右衛門』とは無関係ですし、もちろん『伊右衛門』とのつながりもありません。
では『重右衛門』とはいったい何者なのか。
ちょっとだけ詳しくみていきましょう。
『純米吟醸 重右衛門の酒』ってどんなお酒?
『重右衛門の酒』は、大仙市協和にある『奥田酒造店』さんがつくる『純米吟醸』です。
奥田酒造店さんといえば、代表銘柄は『千代緑』。
酵母の名をつけた『SP』『R-5』『MS3』などが有名ですよね。2025年の美酒王国秋田便では、広島の酒米『八反錦』をつかったことでも話題になりました。
そんな奥田酒造店さんですがその歴史は古く、創業は1600年代後半。約350年もの歴史をもつ蔵なんです。
当主が代々『重右衛門』を名乗る習わしがあり、現在で19代目となります。
つまり、当主の名を冠したのが今回の1本。
『重右衛門の酒』。
なんだかネーミング以上の重みが感じられますよね。
その重みは酒質にも表れていて、アルコール度が17~18度と高めです。
酒米は『美山錦』が100%。精米歩合は50%と、純米大吟醸クラスの磨きがあります。
公式サイトによると日本酒度は+5とのことですが、日本酒は生き物です。
おなじお酒でも、タンクが違えば味わいには誤差が出ます。
なので『+5付近』だと思っておくのがいいかもしれません。
さて、そんな『重右衛門の酒』ですが、3~6月の間は『生酒』で発売されます。
それ以降の期間は『生貯蔵酒』で。
『生酒』の状態で貯蔵し、出荷前に火入れする方法で酒質を安定させます。
今では『生貯蔵酒』をうたう酒は少なくなってきたので、ちょっとだけ珍しいかもしれませんね。
今回、私が飲んだのは『生貯蔵酒』のほうです。
『火入れ』がされているので常温で売られていました。そこから冷蔵庫に入れることはなく、買ったままの状態で飲んでいます。
感想に移っていきましょう。
『純米吟醸 重右衛門の酒』を飲んでみて
この1本の味わいを一言であらわすのならこうなります。
“オモウマい”
香りの立ちがよく、フルーティーさからはしっかりと重みが感じられます。
アルコール感と言ったほうがいいかもしれませんね。
17.5度の重厚感。
それは口に含むと、『ほの白い酸』と『深いうまみ』になって押し寄せます。
トレンドとは違う懐かしさがあるけど、けっして古臭いわけではありません。
でも、けっして新しいわけでもないんです。
あくまでも、伝統的。
アルコールの分だけジリジリ来ますし、味わいも軽快さで飲ませるものではありません。
酸にも厚みがありますし、それはうまみにもしっかりと感じられます。
が、それがうまい。
うまいんです。
『重み』と『厚み』と『うまみ』があって尚、飲みにくくはないんです。
正直、誰にでもオススメできるお酒ではないかもしれません。
ですが、誰にでも言えることがひとつだけあります。
「そう身構えなくても大丈夫だよ」
そんな、「これはこれで悪くないんだよなあ」と思わせてくれる、どこか懐かしさのある1本でした。
『純米吟醸 重右衛門の酒』の商品情報
- 使用米:美山錦100%
- 精米歩合:50%
- アルコール分:17~18度
- 日本酒度:+5
- 酸度:1.3
※3~6月は『生酒』で、それ以降は『生貯蔵酒』で発売されます。
まとめ:蔵の当主の名を冠した、しっかりうまい『生貯蔵酒』
実はこの1本、あまり売っているところを見かけません。
私は秋田市内の酒屋さんを回るのですが、まるごと市場でたまたま見かけたに過ぎないんです。
『特約店限定品』ならば、特約店に行けば売っています。
それは約束されたもので確実性があります。
でも、そうでない場合は?
限定をうたっていないけど売ってるところが少ない。
そんな1本に出会ってしまった場合、それは本当に『出会い』。『ご縁』なのではないでしょうか。
アルコール度の高いお酒なので強くオススメはしません。
ですが、あなたの行く先にもしこの『重右衛門の酒』があって、もし『目が合った』と感じたのなら……
一考の価値があるのではないでしょうか。
それでは今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ではでは。
※辛口でおいしかった秋田の地酒をまとめています。お手すきの際にでも読んでみてね。