こんばんは、いしかわです。
この1本、気になっていた方も多いのではないでしょうか。
大納川の新ブランド「萌芽」。
彗星のように現れて、あちこちの酒屋さんにずらりと並んでいますよね。
価格も純米大吟醸としてはコスパがよく、2000円を切ります。
なので、お買い求めやすい。
もうすでに「買ってみてもいいかな」という方もいるはずです。
でも。
でもですよ。
この記事を読んでいるあなたはきっと、まだ迷っているのではないでしょうか。
なのでこの記事が、あなたの背中をそっと押します。
ぜひ最後まで楽しんでいってくださいね。
それでは、いってみましょう。
『萌芽』ってこんなお酒
『萌芽』とは、大納川の副杜氏である「鈴木圭」氏が手がける新ブランドです。
「鈴木圭」氏は、5年前に亡くなられた浅舞酒造の森谷杜氏のお弟子さん。
そのご縁とご意志もあり『萌芽』シリーズには、師への尊敬の念が色濃く感じられます。
たとえば、酵母。
シリーズ第1弾である『秋田酒こまち』には、森谷杜氏が得意としていた『AK-1』を使用しています。
さらに、使用米である「秋田酒こまち」にも大きなご縁がありました。
というのも、この酒こまちを栽培しているのはあの「A-BASE」なんです。
「A-BASE」といえば、森谷杜氏の御子息が営んでいる会社。
つまり米、酵母ともに、師にゆかりのあるものを使っているというわけです。
そして、萌芽というネーミングにもこんな思いが込められていました。
公式サイトより抜粋させていただきます。
酒造りの師である故・森谷康市氏からいただいたご縁と新たな縁とがつながり、この酒を造ることで、森谷杜氏からいただいた技と精神を若い蔵人に伝えつなぐ素晴らしい機会となりました。
それはまさに大納川として新たな芽生えであり、始まりです。
その芽生えた縁が伸びつながり、さらに広がって欲しいという願いをこめ「萌芽」と名付けました。
この「萌芽」というブランドにこめられた「心」が、一読しただけでも伝わってくるのではないでしょうか。
素敵なストーリーがあって、味わいにも期待が高まりますよね。
ということで、ここからは味わいの感想に移っていきましょう。
「萌芽 秋田酒こまち」と飲んでみて
この1本の味わいを一言にまとめるのならこうなります。
“ピンと跳ねる派手さはないが、静かにあと引く中口”
香りは控えめで、大納川の蔵付き酵母ほどの甘みはありません。
静かに、しとやかに、華やかといった感じでした。
口当たりから感じたのは、50%精米とは思えない透明感。
舌先でゆるっとやわらかく、乗ってふわりと旨みが広がります。
数値ほど(日本酒度±0)甘くはなくて、食中酒にもしやすいと感じました。
ただ、冒頭でもお伝えしたとおり、派手さはありません。
クラフトサケのような革新はないですし、味わいに跳ねるような驚きもありません。
ですが、何杯でもいけます。
上品でよくなじむ味わい。
まさに、秋田酒こまちらしい1本です。
「毎日飲むならこういうのでいいんだよ」と思わせてくれる、秋田県民がほっこりする1本でした。
「純米大吟醸 萌芽 秋田酒こまち」の商品情報
- 原料米:㈱A-BASE栽培 秋田酒こまち100%
- 精米歩合:50%
- 酵母:AK-1
- 日本酒度:±0
- 酸度:1.8
- アミノ酸度:0.9
- アルコール度:15.6%
- 参考価格720ml:1980円
発売日:2024年10月25日
まとめ:萌芽そのまま、これからが楽しみな新ブランド
たくさんの思いとご縁がつないだ、大納川の新ブランド「萌芽」。
改めて、素敵なネーミングだなと感じました。
大納川天花シリーズを飲んだことのある方は香りの違いが楽しめますし、飲んだことない方にとっては「いい酒こま」が楽しめる1本です。
大きな声では言えませんが、正直、最初はちょっと物足りないかなと思いました。
ですが、そう言いながらもグラスは進み……
気がつけば1杯、もう1杯と飲んでいました。
このグラスの進み具合こそが、何よりの感想。
ホッとする時間をくれた「萌芽」に、感謝と期待をこめて、今回はここまでです。
ごちそうさまでした!