こんばんは、いしかわです。
春酒の季節がきましたね。
紫外線の兼ね合いで暗い色のビンが多いなか、これからの時期はパステルカラー。
スーパーでは桜をあしらったラベルが目立つようになり、地酒屋さんにもピンク色のデザインが散見されるようになります。
それらのなかでも、刈穂の『春カワセミ』はよく目立ちます。
2021年までは水色のビンを採用していましたが、2022年からはほぼ無色透明に。
底面に溜まるオリがしっかりと見えるデザインです。
「カワセミが戻ってくる春をイメージした」というラベルも、見る人に冬の終わりを感じさせてくれます。
まさに春告げ鳥。
ひと足早く、秋田に春を届ける1本です。
さて、そんな『春カワセミ』ですが、いったいどんなお酒で、どんな味わいだったのか。
ちょっと見ていきましょう。
『刈穂 純米吟醸 春カワセミ』ってどんなお酒?
『刈穂 純米吟醸 春カワセミ』は、『カワセミラベル』の新酒生酒バージョンです。
発売時期は、2月中旬頃。
暦の上でこそ春とされる時期ですが、秋田ではまだまだ冬まっさかりという頃に発売されます。
そのため、春酒としてはややフライング気味。
アパレル業界にも負けないスピード感で、季節の移り変わりを告げる1本です。
『春カワセミ』の大きな特徴は、“澱引きしていないこと”が挙げられます。
澱引きとは、タンク内に沈殿しているオリを取り除くこと。
実は、しぼってすぐのお酒には、酵母などの細かい固形物がまんべんなくフヨフヨしています。
なのでビン詰めは、「オリがタンクの底に沈みきるのを待ってから」というのが一般的です。
ですが春カワセミにはその工程がありません。
なので、お酒にはうす~~~~い濁りがあります。
とはいえ「ビンのなかにオリが浮いている」と言われると、まるで悪いことのように聞こえますよね。
実はこれ、真逆なんです。
だって考えてみてください。
一般的なお酒は、しぼってから数日、数週間置くんです。
となると、『新鮮』にも限度が出てきます。
しぼって即ビン詰めしたものと比べると、どうしても半歩劣ります。
なので『春カワセミ』は、うす~~~~い濁りの分だけフレッシュなんです。
『刈穂 純米吟醸 春カワセミ』を実際に飲んでみて
この1本、一言であらわすのならこうなります。
“春詰めの酒”
まず、香りが鮮烈!
待ちきれない春が来てます。
甘み少なめの、酸がはじけるような香りがたまりません。
口当たりはまろやかで、鮮やかな香味が口のなかでずっと続きます。
味わいにあるのは、山なりの甘み。
ふんわりとしていて、秋田酒こまちらしさが明るく漂います。
そして何よりこの甘み、舌にまとわりつきません。
スッと入っていくからまったくクドくないです。
刈穂らしい硬さでスッキリと飲ませてくれます。
ビンをひっくり返してオリを混ぜると、アルコール感がマシマシに。
甘みがより控えめに感じられます。
また、逆さまにしてオリが混ざっていく姿は、どこか幻想的に映ります。
「まだ冬だぞー」と言われているような。
「忘れないでね」と言われているような。
ゆっくりと漂いながら混ざっていく姿は、無色透明なビンだからこそ映えるのかもしれませんね。
全体通して感じたのは、気持ちの向きです。
なんでしょうね。不思議と上を向きたくなる明るさがあります。
冷やすことで最大限に発揮される『凛とした口当たり』は、まさに春の訪れ。
風向きが変わるのを感じる1本でした。
『刈穂 純米吟醸 春カワセミ』の商品情報
- 使用米:秋田酒こまち100%
- 精米歩合:50%
- アルコール分:16度
- 日本酒度:+5
- 酸度:1.8
- 発売時期:2月中旬
☆参考価格
720ml:1,815円(税込み)
1.8L:3,630円(税込み)
まとめ:ひと足お先に春到来。今年もカワセミが戻ってきた。
熱燗を楽しむ日も少なくなかった今冬ですが、そうなるとやはり重めの日本酒が中心です。
たとえば本醸造や純米酒。
気取らず気張らずに飲める1本が、私のそばにはありました。
だからこそ『春カワセミ』の明るさには驚きました。
もうそんな季節なんだな、と。
まだ底冷えする夜が多い秋田にも、ようやく冬の出口が見えてきました。
次に見えるのは春の入口です。
そのときあなたがどんな日本酒を手にしているのか。
私はこの『春カワセミ』であればいいなと、心から思っています。
それでは今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
※飲みやすい日本酒でまとめているので、こちらも良ければ読んでみてください。