こんばんは、いしかわです。
秋田の酒飲みなら『食中酒』としてまず思い浮かべるのではないでしょうか。
『美』しい『稲』と書いて、『うましね』。
コスパの『吟泉』。
辛さの『醇辛』。
などと並んで陳列されていることが多く、『天の戸』の定番として根強い人気の1本です。
どこにでも売っていますし、知名度も申し分ありません。
ただ、山のような季節商品の陰に隠れてしまう。
定番商品すぎることがネック。
スーパーでの酒担当者時代に感じたのは、そんな印象でした。
なので、ここでいま一度スポットライトを。
それではいってみましょう。
『天の戸 美稲』ってどんな日本酒?
『天の戸 美稲』は、横手市の浅舞酒造がつくる『特別純米酒』です。
浅舞酒造のおおきな特徴は、
“原料はすべて蔵から5キロ以内のものを使うこと”。
そのコンセプトはまさに地産地消で、『地酒』であることを最大限に意識された酒造と言えます。
そんな浅舞酒造において『美稲』は、まさに代表銘柄です。
『This is 浅舞酒造』
これが、これこそが、浅舞酒造の象徴だと言いたくなる1本なんです。
実際、フルネットが2年に1度のサイクルで発行する『地酒人気銘柄ランキング』では、2003〜2004年版の純米酒部門において全国4位に輝いています。
「なんだ、昔じゃないか」
と思われたかもしれません。
確かに、味わいには流行りがあります。
フルーティーさや酸味など、新規ユーザーを意識した令和とはまったく時代がちがいます。
ですが、こちらをご覧ください。
『天の戸 美稲』のインスタグラムでの口コミ
インスタグラムの口コミにはこのようなものがありました。
- 始めて飲んだ時から忘れられないお酒
- このお酒がきっかけで日本酒にどっぷりハマるようになった
- 思い出の酒。日本酒のうまさに目覚めるきっかけになった酒
言うなれば、日本酒好きを生んだ1本です。
すごいスケールですよね。
20年前に流行った日本酒が、いまも続く日本酒ファンを生んでいるなんて。
なので『美稲』を、過去に評価された日本酒と侮るなかれ。
今までもこれからも、
“流行を跳ねのける秋田のうまくち”
として輝き続けるにちがいありません。
せっかくなので他の口コミもいくつか抜粋させていただきますね。
- ネーミングと勾玉のマークに惹かれたお酒
- 後から米のうまみを感じる純米酒なので、食中酒に向いてる感じ
- しっかり冷やして良し
- 秋田のお酒はどれもうまいが、もしかしたら一番好きなのはこれかも
SNSなのでポジティブな意見が多いですね。
ですが、なかにはネガティブな意見もありました。
- 苦手な山廃のような味が多少
やっぱり『醇酒』らしいコクと酸味があわさると、好みがわかれます。
特に、フルーティーさや軽快さを求める方にはあまりオススメできないといったところでしょうか。
まさに私の好みがそうなので、実際に飲んでみました。
『天の戸 美稲』を飲んでみて
まず一瞬感じたのは、「あれ?」という感覚でした。
いつか飲んだ『美稲』とは、酸の強さと熟成感がちがうように感じたからです。
「こんなにクセあったかな」
というのが口当たりで覚えた感想でした。
お酒の色はやや山吹色。
琥珀色と言ってもいいかもしれません。
味わいには、深みと枯れのある甘み。うまみとコク。
コクには柔らかさがあります。
「辛口!」という辛さは感じません。
奥深いうまみがスッキリと消えていく『うまくち』という印象でした。
「ああ、純米酒ってこうだったよなあ」
なんて、なんだか懐かしさを覚えます。
ちなみに熱燗にしてみると、枯れ感が穏やかに。
しっとりした甘みが堪能できるので、個人的にはオススメです。
抜群の飲みやすさになりますよ。
『天の戸 美稲』の商品情報
- 原料米:秋田県産酒造好適米
- 精米歩合:55%
- アルコール度:15.7%
- 日本酒度:+2.6
- 酸度:1.5
- 参考価格720ml:1,450円(税別)
まとめ:これが秋田の純米、食中酒だ
いつか飲んだ『美稲』とのイメージのちがいは、熱燗にしたら吹き飛びました。
春は常温。
夏は冷やして。
秋、冬はのんびりと熱燗で。
通年商品らしく『通年』での楽しみ方のある1本です。
ただ、よりオススメするのなら秋、冬でしょうか。
脂乗りのよい魚やキノコ類と。
煮付けや味噌。
濃いめの味つけに合わせやすい1本なので、ぜひコートを着始めたころに飲んでみてくださいね。
それでは、今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ではでは。
※飲みやすい日本酒でまとめた記事もあるので、あわせて読んでみてね。