こんばんは、いしかわです。
浅舞酒造といえば『天の戸』が有名ですよね。
食中酒としておすすめな『美稲』にはじまり、大辛口の『醇辛』。
そして高コスパの『吟泉』と、あらゆるニーズに応えてくれるブランドです。
そんな『天の戸』が買える場所を選ばないブランドだとすると、『夏田冬蔵』は場所を選びます。
扱うのは、ごく限られた酒屋さんのみ。
ネーミングにセンスが光る、浅舞酒造のチャレンジタンクです。
ちょっと詳しく見ていきましょう。
『夏田冬蔵』ってなんぞ?
実は『夏田冬蔵』とは、浅舞酒造の『森谷康市』杜氏が自身の酒づくりをつづった書籍のタイトルです。
その名を冠した酒なだけに、このシリーズには並々ならぬこだわりがあります。
- すべて酒米違いの純米大吟醸
- 造りはその年で最適なものをチョイス
- 原材料は蔵から5キロ圏内のものを使用
毎年毎年がチャレンジな少量仕込みのため、取り扱うのは20店舗ほどと限られます。
しかも、20すべてが地酒屋さんです。
つまりスーパーや酒の英雄、酒のやまやでは買えない日本酒なんです。
今回は紹介していく『吟の精仕込み』も、もちろんそう。
秋田県固有の酒米『吟の精』を40%まで磨いたぜいたくな1本です。
『吟の精』は、
「美山錦に代わる秋田固有の酒米をつくろう」
という試みから生まれたお米で、『秋田酒こまち』が出てくる前の主力品種でした。
ひょんなことから55%まで精米したものを見せてもらったのですが、『心白』はほぼありません。
見た目はまるで食用米のよう。
『心白』の大きさや色などが良い酒米の条件とされていますが、「ほぼない」というのは初めてでした。
さて、そうなると気になるのが味です。
酒米のランキングや知名度でいうと、『吟の精』にはあまり馴染みがありませんよね。
ですが、『劣っている』わけでは決してありません。
どの酒米にも『劣』があれば『優』もありです。
『吟の精』もそうでした。
『純米大吟醸 夏田冬蔵 吟の精』を飲んでみて
まずはごめんなさい!
筆者が単純に『吟の精』好きだというのもあるのですが、感想がまとまる前に飲みきってしまいました。
が、やるだけやってみます。
舌の上で広げようとしなくても勝手に広がっていくやわらかさ。
しっかりとした甘み。
そして精米歩合40%が可能とする、ほどけるようなうまみ。
砕けるような、と言ってもいいかもしれません。
特筆すべきは、やっぱり甘み。甘みが強い。
ただ、そこに雑味がないので心地が良いんです。
しっかり甘くて、しっかりうまい。
濃潤なのに嫌みのない感覚が、高い高い質を感じさせます。
吟の精って、いい。
おいしいです。
この1本のすべてが『秋田』でできているのだと思うと、なんだか誇らしくなりました。
私がつくったわけでもないのにです(笑)
『純米大吟醸 夏田冬蔵 吟の精』の商品情報
- 使用米:吟の精
- 精米歩合:40%
- アルコール分:16.3度
- 日本酒度:+2.7
- 酸度:1.8
まとめ:酒米違いを贅沢に味わえる、特約店限定シリーズ
ということで最後に、『夏田冬蔵』と『吟の精』をおさらいして終わりましょう。
夏田冬蔵とは、
- 森谷康市杜氏のつづった書籍のタイトル
- 酒米違いの純米大吟醸シリーズ
- 造りはその年に適したもの
- 原材料は蔵から5キロ圏内のものを使用
吟の精とは、
- 美山錦に代わる秋田県固有の品種
- 秋田酒こまちが生まれるまでの主力
- 心白がほぼない
吟の精仕込みの味わいは、
- しっかり甘くて、しっかりうまい
- 広げなくても広がるやわらかさ
- 40%精米らしい透明感
箇条書きにすると味気ないですが、このようになりました。
買える店舗は少ないですが、見つけたら『価値』のある1本です。
もちろんそれは『珍しいから』ではありません。
『おいしいから』です。
浅舞酒造のチャレンジが詰まっているので、ぜひ『秋田の素材』が生む味わいを楽しんでみてくださいね。
それでは、今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ではでは。
※個人的に『天の戸』はこれが好きなんですっ!