こんばんは、いしかわです。
あなたにもきっと、どうしても手が伸びない。手の出せない日本酒ってありますよね。
おいしいとは聞くけど、自分で買う気にはなれない。
気にはなるけど、買ってまで飲みたくはない。
特に、一升瓶でしか展開していない日本酒がそうなのではないでしょうか。
『両関 銀紋』もそんな1本。
「熱燗なら銀紋でしょ」という声もありますが、実際のところはどうなのか。
いよいよ買ってみたので紹介していきますね。
それでは、いってみましょう。
『両関 銀紋』ってこんなお酒
『両関 銀紋』は、湯沢市の両関酒造がつくる『普通酒』です。
今となっては『花邑』が有名ですが、遡れば『銀紋』は、かつての看板。
熱燗でおいしい日本酒といえば名の挙がる銘柄でした。
が、しかし。
しかしですよ。
やっぱり『普通酒』と聞くと身構える人も多いのではないでしょうか。
普通酒=古き酒。
古き良き酒であり、古き悪し酒な時代もありました。
添加物は当たり前。糖類や酸味料などで調整された、『とにかくコストを抑えた日本酒』というイメージで間違いはないかと思います。
そのため令和の今、味に期待するものではありません。
良くも悪くも『伝統』。
普通酒は、
“古くから日本酒を嗜んできた方に向けた1本”
という印象です。
では、『両関 銀紋』もまたそうなのでしょうか。
答えはNOです。
『両関 銀紋』を、ただの普通酒と侮るなかれ。
添加物の類はいっさい使っていません。
原材料は、
米
米こうじ
醸造アルコール
これら3つのみ。
そのため、本醸造酒にも比肩します。
ただ、酒米についての明記はありません。価格を見ると飯米を使っているのかなという印象です。
特に、『裏銀紋 純米酒』にも使われている『ゆめおばこ』や『ちほみのり』。
これらは酒米よりも安価で大量に収穫できるので、もしかしたら……という推測です。
いずれにしても想像の域を出ないので、定かではないお話はここまでにしましょう。
さて、湯沢市はもちろん、県内全域で根強い人気のこの1本。
チャートでみれば、味わいは『うまくち』との事です。
実際のところはどうなのか。
感想に移りましょう。
『両関 銀紋』を飲んでみて
正直に言います。
20代で出会っていたら顔を背けていたと思います。
今だからいい。
30代も終わりに差し掛かり、純米酒の落ちつきが舌になじむ今だからこそ『良い』と言えます。
古き良き、ツンとくる香り。
ひと嗅ぎでわかる層の厚み。
ぐい呑みに鼻を近づけるだけでクラシックなイメージが湧いてきます。
常温で味わうと、フルーティーはありません。感じられませんでした。
代わりに、米の厚み、甘み、雑味。それを飲ませる伸びやかさ。
まったりとした舌触りのまま、ゆるやかに喉を通ります。
余韻として覚えるのは、アルコール感でした。
こもるように残ります。
うまいまずいで言えば正直、難しいです。
『飲める』『嫌いではない』といった感覚。
毎月のように発売される『季節の酒』を差し置いて、あえて買うかと問われれば本当に難しい。
というのが常温で飲んだ感想でした。
ですが、お燗にしたら。
熱燗、とびきり燗にすると感想がガラリと変わります。
「熱燗なら銀紋、確かに!」
と、膝を打つ味わいになるんです。
特に50℃以上!
熱燗、とびきり燗が抜群にいいんです。
むしろ個人的には、ここしかない。
ここしか良くないとすら思ってしまいます。
苦み、雑味、酸味が薄れて、うまみがふっくら。
ホクホクとしたうまみが長く感じられます。
熱々。
だからこそのうまさを感じました。
ただ、温度が下がってきたとき。燗冷ましの状態になるとイヤな酸味が出てきて、変なメリハリが生まれます。
正直、おいしいとは感じませんでした。
お燗にすると、おいしさは一瞬。
ただ、その一瞬には輝きがあります。まぶしいほどです。
「熱燗なら銀紋」
しっかり納得してしまう1本でした。
『両関 銀紋』の商品情報
- 原料米:秋田県産米100%
- 精米歩合:70%
- アルコール分:15.5度
- 酵母:きょうかい701号
- 日本酒度:-2
- 酸度:1.2
まとめ:先人の言葉に偽りなし!ぜひ熱燗でどうぞ
ここに至るまでに1度だけ出てきた言葉があります。
あなたは覚えているでしょうか。
『裏銀紋』
そうです。
『銀紋』の裏バージョンです。
表の銀紋は伝統の1本ですが、裏は純米酒のブレンデッド。
クラシックの表に対してモダンをいく1本です。
どちらも熱燗で輝くのですが、
より熱々を楽しむのならば“表”の銀紋を。
幅広い温度を楽しむのなら“裏”がおもしろいです。
どちらもコスパに優れた1本なので、燗を求める季節が来たら試してみてくださいね。
『銀紋』は雪国で生まれ、雪国で愛される。
まさに『地酒』という1本でした。
それでは今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ではでは。
※熱燗でおいしい秋田の日本酒をいくつかピックアップしてみました。