大辛口って、日本酒度が+6から上を言います。
10を超えると超辛口を名乗る酒も出てきますし、15を超えればそれはもうラベルになるほどです。
ですが、さらにその上。
+20を超えてくると、いよいよこういう扱いになるんですね。
“番外品”
そのままの意味でとれば、
“定められた枠組みに含まれないもの”
“普通のものとは違う特別扱いされるもの”
なんだか男心をくすぐりますよね。
ちょっと詳しくみていきましょう。
刈穂 山廃純米生原酒 番外品+22ってこんなお酒
まずこの1本、『刈穂』では珍しい『特約店限定』です。
代表銘柄の『六舟』や『カワセミ』はスーパーや大手酒屋さんでも買えますが、こちらは主に地酒屋さん。
限られた店舗でしか購入できません。
発売時期は、冬季のみ。
さらに展開は『一升瓶のみ』という、刈穂のなかでもかなり特殊で特別な1本となっています。
「一升瓶だけとなると、個人では買いづらくない?」
と思われたかもしれません。
確かにそのとおりで、強烈な個性も相まって居酒屋向けと言えます。
ところがどっこい。
どっこいですよ。
この『刈穂 番外品+22』は、コスパの化け物なんです。
価格はなんと3,080円。
一升瓶ですよ。純米吟醸720mlの相場を2,000円前後とすれば、このコストパフォーマンスは大きな魅力です。
気に入れば『量』が確保できるというのは、酒飲みにはうれしいのではないでしょうか。
さらにこの1本、もう少しだけ触れておきたい部分があります。
それは酒米。
使用米には『美山錦』と『秋の精』が使われており、『秋の精』は今や希少とされる秋田固有の酒米です。
品種登録こそ2000年ですが、開発されたのは1986年。
40年近くの歴史をもち、かつての秋田を彩りました。
肝心な味わいはというと、絶妙な旨みと酸味をもち芳醇に仕上がるとされています。
どっしりとした味わいの『秋の精』に、日本酒度+22が合わさるとどうなるのか。
期待と不安でワクワクしてきますよね。
酵母にも少し触れたかったのですが、感想にいっちゃいましょう。
刈穂 山廃純米生原酒 番外品+22を飲んでみて
これ、すっごいですよ。
当たり前ですがしっかり辛口で、『甘くない』がずっといます。
特にひとくちめの衝撃は凄まじく、ALC.19%も合わさって痺れて重く舌に落ちます。
味わいも膨らまず、とにかく素直な辛さ。
日の丸醸造の『うまからまんさく(日本酒度+8)』や大納川の『大納川天花 炎ラベル(日本酒度+11)』、秋田醸造の『ゆきの美人 完全発酵(日本酒度+12)』などを好んで飲む私は、たぶん辛口好きになるのだと思います。
そんな私でも、辛い。
辛すぎると唸るレベルでした。
正直、ちょっとやりすぎなのでは、と思うほど。
だったんです。
だったんですが不思議なもので……。
舌が辛さに慣れてくると感じるんですよ、うまみを。
すんごい直線的な辛口だったはずなのに、いつの間にか“味わう味わい”になっていたんです。
決して飲みやすいとは言いません。
ですが、飲める。
ズシリと来るうまみと、生原酒らしいフレッシュさ。そして『刈穂の辛さ』が飲ませます。
これ、辛口好きは癖になりますよ。
刈穂 山廃純米生原酒 番外品+22の商品情報
- 使用米:美山錦・秋の精
- 精米歩合:60%
- 酵母:自家培養酵母KSP
- アルコール分:19度
- 日本酒度:+22
- 参考価格1.8L:3,080円
※特約店限定、冬季、数量限定
まとめ:まさにこれは、定められた枠組みに含まれないもの
改めて言わせてください。
この1本、すっごいですよ。
「日本酒の辛口って何?」
その答えが見つかる1本でした。
実は秋田には、この『刈穂 番外品』を超える辛口が存在します。
そちらの日本酒度は+25。
苦みの出ないギリギリを攻めに攻めた、秋田でも唯一無二の1本です。
なので、確かに上には上があります。
全国で見ればさらに上があるほどです。
とはいえ、日本酒は好みの世界。
日本酒度のランキングで見れば甲乙ありますが、味わいで見ればあとは好み。
どれも違って、どれも面白いものです。
ぜひ、その時々のラインナップから、あなたにいちばん合う辛口を見つけてみてくださいね。
それでは今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ではでは!
※秋田の辛口、ランキングにしちゃいました。