こんばんは、いしかわです。
新聞にも掲載されたことで気になっている方も多いのではないでしょうか。
小玉醸造のクラフトジン『岑』。
『ぎん』と打ち込んでも変換できないので検索の仕方が気になる……というのもあるかもしれません。
そんなときは『みね』で変換してみてください。やがて出てきます。
が、本当に気になっているのはそこではないはず。
「日本酒メーカーのクラフトジンがどんな味なのか」
それに尽きるのではないかと思います。
ただ、高い。
クラフトジンって高いのです。
500mlで3,080円(2025年現在)
試したくてもちょっと敷居が高すぎますよね。
でも、誰かが買わないと。
誰かが飲まないと『気になる』は解決できません。
なので、
いしかわ、動きます。
なにより私が気になります。
だって、あの色を見ましたか?
透明とはほど遠い、コハクに近い野生色。
気にならないわけがありません。
というわけで、ちょっと詳しくみていきましょう。
クラフトジン『岑(ぎん)』ってこんなお酒
『岑(ぎん)』は、原材料にクロモジを。
割り水には水だけでなく、『シラカバ』の樹液を使用したクラフトジンです。
とはいえ『クロモジ』と言われて
「ああ、あれね」
となる人は少ないのではないでしょうか。
実は私も、「はいはい、クロモジね(なんですかそれ)」という感想を抱いたひとりです。
なので、ちょっと調べてみました。
クロモジとは、クスノキ科の植物なのだそうです。
漢字で書くとこうなります。
『黒文字』
若い枝が成長していく過程で『黒い斑点』が出てくることから名付けられました。
むかしの人は斑点を文字に見立てたのですね。
なんだか現代にはない趣があります。
もう少し調べていくと、クロモジには用途の豊富さにも驚かされました。
なんとクロモジ、捨てるところがありません。
枝は楊枝や箸に。
葉はお茶に。
精製すれば油に。
そして今回はジンの材料に。
まさに万能。
クロモジとは、なんとも器用な和のハーブだったんです。
そしてもうひとつ。『シラカバ』。
『白樺』と書きます。
こちらも万能の働きを見せ、アイヌ民族にとっては“命をつなぐための大切な樹”でした。
特に、樹液。
樹液はアイヌの人々にとっての水です。
水場のないところで炊事をする際には、水のかわりとして使われていました。
クロモジ、シラカバ。
ともに歴史のなかで重用されてきた和のハーブです。
それが現代。
ジンの材料にされるなんて誰が想像したでしょうか。
材料ひとつとっても関心の色が濃くなりますよね。
『AKITA CRAFT GIN 岑 No.65』を飲んでみて
これ、すごいですよ。
飲む前から驚きます。
香りの穏やかさ、その整いっぷりにジンを忘れます。
まず、突き刺すものがありません。
ジンと言えば『柑橘由来の華やかさ』。
タンカレーやゴードン、ボンベイサファイアなど、有名どころには明るい鮮やかさがあります。
が、『岑』にはないんです。
だから静か。
香りの時点で『和』が感じられます。
味わいは、香りがくれたギフト。
癖がまったくなくて、柑橘感もほぼ感じられません。
絶妙にスムーズな味わいです。
ただ、余韻の部分。
そこにふわりと自然味、野性味を感じました。
『和』というよりは『野』。
なんでしょう。なんと言ったらいいのか。
土の香りというか、樹そのものというか。
著名なジンを飲んできた方ならまちがいなく驚きます。
華やかなジンにはないものが、ここにあります。
そして、ジンと言ったらこれです。この飲み方ですよね。
ジントニック、ジンバック。
とにかく炭酸で割らないことには始まりません。
ということで、炭酸水で割ってみました。
もうね、びっくりするほど和の雰囲気です。
まろやかな味わいの陰にあったシラカバの甘みが、炭酸で押し上げられてきます。
たぶん、ここが好みの分かれ道。
シラカバの甘みが不思議なんです。
自然の甘みが逆に不自然というか……
やさしく包みこむような甘さに違和感を覚えてしまいました。
正直に言えば、好みではありません。
ただこれは、ジンの量を減らすことで緩和できます。
なので『あんべいいところ』を探しながら楽しんでみるつもりです。
個人的にはオン・ザ・ロックがいちばんでした。
スパイシーさを残しながらも、味わいは穏やか。
秋田のクラフトジンをダイレクトに楽しめます。
とはいえ、相手はジンです。
アルコールが強すぎます。
オン・ザ・ロックは胃に何か入れてから。
くれぐれも空きっ腹には入れないようにしてくださいね。
20分後には胃のあたりを押さえて呻くことになりますから。
まとめ:『AKITA CRAFT GIN 岑 No.65』は、日本酒の蔵がつくったとは思えないほどしっかりジン
クロモジってなんぞ?
シラカバってなんぞ?
味ってなんぞ?
と来れば、あと気になるのは名前の末尾。
ナンバーの意味ですよね。
答えは試作レシピのなかにありました。
なんとこのクラフトジン……
完成までに80ものレシピを試しています。
なのでNo.65とは、『65/80』。
80のレシピのなかでいちばん出来のよかった65番目こそが、『AKITA CRAFT GIN 岑 No.65』なんです。
日本酒蔵の、ノウハウなき道のり。
65番目のレシピに到達したとき、蔵人たちがどう思ったのかは知る由もありません。
ただ、その感動は計り知れないものだったはずです。
挑戦し、失敗し、成功を共有する。
その『共有する』という部分がなんだか羨ましくなります。
挑戦って、カッコいいですよね。
なんだかうまくまとまりませんが、今回はこのへんで。
気になってくれた方はまず、お店で1杯。
ぜひ試してみてくださいね。
ではでは。
※秋田の地酒は日本酒以外もアツい!ということでまとめてみました。