こんばんは、いしかわです。
さっそくですが謝らなければなりません。
私、この『夏の純米』……
安すぎて敬遠していました。
『安かろう悪かろう』という言葉があるように、安いものにはリスクが付き物。
特に、安さで選んで失敗した経験がある人ならなおさらです。
「失敗するくらいなら値段気にせず、お気に入りの蔵の季節商品を買ったほうがいい」
というのが、当時の私の本音でした。
ですが今回。
そんなイメージが。
『安かろう悪かろう』のイメージが崩れました。
ちょっと詳しく見ていきましょう。
『高清水 夏の純米』ってこんなお酒
『高清水 夏の純米』は、『美山錦』を100%使用した『低アルコール酒』です。
低アルコールといっても、やはり日本酒。
アルコール度は12.5%を数えます。
一般的な日本酒が15〜17%くらいなので、低いといっても3、4%ほどですね。
「え、たったのそれだけ?」
思いませんでしたか?
そうなんです。たったのそれだけです。
2025年に発売された『アルゴ(アルコール5%)』(月桂冠)のような一目でわかる数値ではありません。
ですが、この12.5%が良いんです。
この一見すると誤差のような差が、「飲めない」を「飲める」に変えるほどの力を持っているんです。
だって考えてみてください。
ストロングゼロは、アルコール9%の缶チューハイ。
対してキリンの氷結は5%です。
この4%の差って大きくないですか?
ストロングゼロが強すぎて苦手だという方も、氷結であれば飲めるのではないでしょうか。
『ほろよい』と『氷結』で考えてみてもいいですよね。
3%と5%。
たった2%が、好みを決定づけることだってあります。
さて、そんな『アルコール12.5%』の『夏の純米』ですが、発売時期は5月と、夏を待てない子。
夏といえば夏ですが、まだ入口です。
毎年、GW明けにビン詰めされて発売されます。
そのため、酒質が若いっ。
うまみの濃さを表すアミノ酸度は1.0と低めで、熱燗にはあまり向きません。
“キンキンに冷やして飲みやすさを満喫する1本”
そんな風に捉えてみてくださいね。
『高清水 夏の純米』を飲んでみて
ここまで読んでいただいた上でこの1本の味わい……
一言であらわすのならこうなります。
“しっかりと味がある!”
低アルコールの日本酒って、どこかコシが弱い。味わいの幹が細いイメージがあったんです。
なのにこの1本は、味わいに『印象』があります。
と言っても、やさしい甘み。
どこかが頑張ろうと突出しない、なだらかな甘みが感じられます。
また、数値以上の酸があって、甘みをしつこく感じさせません。
とにかくバランスがいい。
うまみを残しつつも、低アルコールの軽さを実現しています。
後味は、『消える』というよりは『消えている』という感覚でした。
気がつけば無い。
うまみを感じているうちに、舌の奥では消えていってる。
そんな感覚にグラスが進みます。
全体を通して
“高清水らしさが静かに爆発した低アルコール”
という印象でしたよ。
これは夏向けだー!
『高清水 夏の純米』の商品情報
- 使用米:美山錦100%
- 精米歩合:60%
- アルコール分:12.5%
- 日本酒度:-4
- 酸度:1.4
- アミノ酸度:1.0
- 参考価格720ml:1,260円(税込)
『春の純米』と比較してみると……
2月発売の『春の純米』と比べてみると感じたのは、“比較する意味のなさ”でした。
「なんだそれ?」ですよね(笑)
これにはちゃんと理由があるので、まだ消さないでください。お願いします。いや、ほんと。お願いします。
というのも、『春の純米』と『夏の純米』のコンセプトはまったく別物。
地続きのシリーズとは感じないくらい、違う1本なんです。
『春の純米』はというと、まるで“しぼりたて”。
火入れの落ちつきのなかに、メロンのようなみずみずしさがありました。
このフルーティーさがもう衝撃的で!
いい意味で奥行きがなく、若いフルーティーさ。
そのため飲み疲れません。
いつまでも青いメロンのような香味が楽しめました。
対する『夏の純米』は、フルーティーさではやはり劣ります。
ただその分、飲みやすい。
圧倒的です。
しかも、しっかり日本酒として、日本酒のまま飲みやすいんです。
まさに夏向け。
『夏の純米』の名に偽りなしでした。
まとめ:文字どおりの夏向け。時代と季節に合った1本
どんどん流行り、どんどん進む『低アルコール化』。
すでにたくさんの酒造が動き出しています。
いち早く動いた酒造。
試験的に少ないリッター数で仕込む酒造。
動かない酒造。
さまざまな思惑が見え隠れしていますが、最終的に勝つのは『いち早く動いた酒造』だと思っています。
なぜなら、成功すれば先駆者に。
失敗してもノウハウにできるからです。
そして何より、蔵がいきいきしているように見えるからです。
これは私だけかもしれませんが、ワクワクしたいんです。
『おいしい』ことが当たり前になった時代で、『おいしいだけ』のものにワクワクはしません。
それ以上の理由が欲しい。
他ではなく『それ』を手に取る理由を求めているんです。
『高清水 夏の純米』には、手に取る理由があります。
これから進む時代に。
『低アル』の時代がさらに進む前に、知っておいて損のない1本です。
見かけたらぜひ、あなたも手に取ってみてくださいね。
それでは、今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ではでは。
※おすすめの夏酒でまとめていますので、あわせて読んでみてね。