こんばんは、いしかわです。
毎年11月になると、酒好きがざわつくイベントがありますよね。
ボジョレーの解禁。
さまざまなキャッチフレーズで、ワイン好きの心を鷲掴みにしてくれるイベントです。
ですが、この時期。
ざわつくのはワイン好きだけではありません。
秋田の日本酒好きも声高くざわつくんです。
なぜなら、雪の茅舎からこの1本が発売されるから。
『荒走生酒』
シンプルなラベルに低価格。
そしてなにより、新鮮で新鮮で新鮮。
3つ重ねても足りないくらい、フレッシュさ溢れる1本です。
この『荒走生酒』、価格以上の価値をお約束します。
ちょっと詳しくみていきましょう。
『雪の茅舎 荒走生酒』ってこんなお酒
『雪の茅舎 荒走生酒』は、毎年11月に発売される“雪の茅舎のしぼりたて新酒”です。
なんと、分類上は『本醸造』。
酒米は毎年おなじであれば、『秋田酒こまち』と『ひとめぼれ』が使われています。
ラベルに荒々しく書かれた『荒走（あらばしり）』とは、もろみを搾ったときにお酒が出てくるタイミングのことをいいます。
搾って最初に出てくるのが『荒走』。
中間が『中取り』。
最後に出てくるのは『責め』と呼ばれています。
『中取り』は味わいのバランスがよく、まさにエリートな部分。
品評会に出すお酒としてもよく使われます。
逆に『責め』は、味わいが濃厚。
圧をかけて搾りきる最後の最後に出てくるお酒なので、原酒のようなチカラ強さを感じることもあります。
ではでは、『荒走』はどうなのか。
バランスが良い、味わいが濃厚ときて、はたして……
と、もったいぶれど、『荒走』にはやはりこの言葉しかないのではないでしょうか。
“荒々しい”
『中取り』がバランスタイプならば、『荒走』はパワータイプ。
新鮮な酒のいちばん新鮮な部分であり、まだ若干のにごりがあります。
香りも強く、フレッシュさが乗るのも特徴です。
ビールには『一番搾り』という言葉がありますが、『荒走』はまさに日本酒の一番搾り。
1本のお酒からわずかしか取れない、貴重でうれしい『部分』なんです。
『雪の茅舎 荒走生酒』を実際に飲んでみて
この1本、一言であらわすならこれに尽きます。
“とにっかく鮮やか”
香りは突き抜けるほど強くないですが、嗅げばしっかり米由来の酸。
ながく吸えば吸っただけフレッシュな香気が感じられます。
味わいは、いきなり来る華やかさ。
しっかりとした糖分があるのに、チカラ強い味わいとキレが勝ります。
アルコール度数は18度です。
なのに、不思議と飲みやすい。
チカラ強いのに、やわらかい。
甘みがあるのに、キレがある。
18度なのに、飲みやすい。
一見すると矛盾しているように見えるのに、たしかに成立しています。
不安定な味わいが安定している、とでも言いましょうか。
凛とひびく若さが、これでもかというくらい押し寄せてくるんです。
これで精米歩合は65％です。
正直、信じられません。
『雪の茅舎 荒走生酒』は、感慨深い1本。
今年もまた日本酒づくりがスタートしたのだと告げる、喜びの1本です。
『雪の茅舎 荒走生酒』の商品情報
- 使用米：秋田酒こまち、ひとめぼれ
- 精米歩合：65％
- 分類：本醸造
- アルコール度数：18度
- 参考価格：1,210円（税込み）
まとめ：酒造りのスタートを告げる、秋田発の日本酒ヌーヴォー
これはあくまでも推測です。
「確定している情報以外はいらない」という方はスルーしてください。
この『雪の茅舎 荒走生酒』のベースとなったお酒は、もしかすると『山廃本醸造』なのかもしれません。
なぜなら、共通点が2つあるからです。
ひとつは、本醸造酒であること。
そしてもうひとつが精米歩合。
どちらも65％であるところです。
もちろんそれだけでは『確定』とはいきません。
実際、アルコール度数でみれば『荒走』は18度です。
対する『山廃本醸造』は15度と、おおきな差があります。
3度ちがえば、それはもう別のお酒です。
たとえば缶チューハイで考えてみましょう。
サントリーのほろよい（ALC.3％）とキリン氷結（ALC.6％）では、アルコールの感じ方は全然ちがいますよね。
ALC.9％のストロング系に至っては、強すぎて飲めない方もいるはずです。
それくらい、3％の差っておおきいんです。
なので、「おなじお酒かもしれない」という私の意見がおもしろいと感じてくれた方だけで構いません。
機会があればぜひ、飲み比べをしてみてください。
若さ溢れる『荒走』と、落ちつきの『本醸造』。
人のように成長し、味が出ていくさまが堪能できますから。
ではでは、今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
いしかわでした。
※山廃本醸造のレビューはこちら
