『山本 6号酵母・7号酵母 純米吟醸生原酒』の感想・レビュー:この飲み比べは永遠のテーマ

山本(山本酒造店)
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こんばんは、いしかわです。

 

『現存最古の酵母』と『かつて最高を誇った酵母』。

甲乙などつけるべきではないのかもしれません。

ですが我々、人間です。

となりにあれば比べたくなります。

同時に発売されれば飲み比べたくなります。

飲み比べればそりゃあ……

 

好みくらいは出るでしょう。

 

ということで、6号酵母vs7号酵母。

いってみましょう。

 

6号酵母と7号酵母ってこんな酵母

まずは6号。秋田県民にはなじみが深いのではないでしょうか。

時代は昭和の最初期までさかのぼります。

1930年頃、秋田県は『新政』の蔵から分離されたのがこの『協会6号酵母』。

日本醸造協会が頒布するものとしては『最古』とされています。

 

6号酵母の特徴は、寒冷地でも強い発酵力を発揮してくれるところにあります。

そのため、東北地方では特に好んで使用されました。

特に1940年から1945年までの間は、まさに時代。

協会からこの6年間で頒布された酵母は『6号酵母』のみだったそうです。

 

しかし1946年。次の号が現れます。

『7号酵母』

長野県は『真澄』の蔵から分離されました。

 

7号酵母の特徴は、発酵力の強さ。そして香りが立つところにあります。

おだやかな味わいに仕上がりながらも、酸がしっかり出るので食中酒としては理想的。

山廃や生酛がトレンドだった当時は、特に好んでつかわれた酵母です。

 

実はかつては、“全国新酒鑑評会といえば『7号酵母』”というほど上位を独占していました。

それほどに質がいい。

“いい酒”づくりには欠かせない酵母だったんです。

 

とはいえ、それは『かつて』のお話。昭和中期の話になります。

好みもトレンドも変わってきた現在です。

 

「もはや時代ではないのでは?」

「もう古いのでは?」

 

そんな懸念が聴こえてきそうです。

が。

しかし。

But!

この7号酵母……

 

令和の現在でも、過半数の蔵がつかっているんです。

それほどまでに優秀。

蔵を選ばず、県を選ばず、好まれている酵母です。

 

さて、そんな『最古』と『最高』ですが、あの『山本』と出会うとどうなるのか。

 

今回の2本は、酵母以外のスペックはおなじ。

原料米に『秋田酒こまち』と『吟の精』をつかった、55%精米の純米吟醸生原酒となります。

日本酒度や酸度は非公開と、おおよその見当をつけることもできません。

まっさらな状態でのテイスティングです。

ちょっと見ていきましょう。

 

山本 6号酵母 純米吟醸生原酒を飲んでみて

6号酵母をつかったお酒は、

“香りも酸もやわらか、穏やかな旨みを生む”

とされています。

 

この山本はというと、確かに香りがやわらか。

突いてくる感じはなく、ファーストタッチにも静けさがあります。

口当たりだけで言えば、まさに“やわらかくて穏やか”です。

しかしそれは、口当たりだけのお話。

味わえば静けさのなかからジューシーな酸が顔を出します。

この酸がきれいで『現代のトレンド』という感じがしました。

 

フルーティーさを感じさせつつも、きれいな酸で食事に合わせる。

そんな“食中酒としての優秀さ”を感じる1本でした。

 

山本 7号酵母 純米吟醸生原酒を飲んでみて

7号酵母をつかったお酒は、

“香りひかえめで穏やかな味わい”

とされています。

 

この山本はというと、ん?

花のような香味がブワーーッと広がっていきますよ?

 

舌に乗った最初の感覚は『苦い渋い』です。

ただ、そこから広がる華やかさが6号酵母を上回ります。

 

華やかさが、濃いです。

若々しさに乗るフルーティーさは、やや甘口の味わい。ですがそれを、きれいな苦みと渋みが甘ったるく感じさせません。

 

なんでしょう。

わかりやすくうまいです。

 

飲みごたえがありつつも、飲み疲れない。飲み飽きない。

食中酒としてはやや華やかすぎる気がしたので、こちらは単体で。

おいしくて食後も飲み続けてしまったので、飲みすぎ注意な1本でした。

 

山本 6号酵母・7号酵母の商品情報

  • 使用米:秋田酒こまち・吟の精
  • 精米歩合:55%
  • アルコール分:15%
  • 日本酒度・酸度:非公開

 

※酵母以外のスペックは両者同じです

 

まとめ:この飲み比べは永遠のテーマ。好みを語って楽しもう。

個人的には、飲みごたえで7号。飲みやすさで6号でした。

味わいの好みで言えば、筆の乗り方で気づかれてしまったかもしれません。

7号酵母のほうが好みでした。

 

というのも私、晩ごはんの最中ってあまりお酒を飲みません。

食前にちょこっと。

食べ終わってからグイグイ、という飲み方が多いんです。

テイスティングして感想をまとめなければならないので、他の味わいが混ざるのを避けているというのもあります。

 

なので、お酒を単体で楽しみたい方には7号酵母を。

食中酒として楽しみたい方には6号酵母を。

 

それぞれオススメさせてください。

 

お店で飲む場合は高確率で飲み比べができるかと思います。

ぜひ、試してみてくださいね。

 

それでは今回はこのへんで。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

ではでは!

 

※飲み比べならこちらもおもしろいですよ

 

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