【2024年版】厳寒の冬におすすめしたい秋田の日本酒9選【11月~1月発売】

まとめ記事
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夏酒、ひやおろしを越えて、またこの季節がやってきましたね。

新酒、初しぼり、しぼりたて。

犬は庭を駆け回り、猫はこたつで丸くなり、日本酒好きは心で踊る。

冬です。

 

こんばんは、いしかわです。

 

いったいいつからが冬で、どのお酒が冬酒なのかを考えると夜も眠れず、寝不足の師走をすごしておりました。

が、この結論はもう待てん、と。

早く書かねば2月。春が立ち上がっては手遅れになります。

 

なので大急ぎで、冬におすすめしたい秋田の日本酒を9本紹介していきます。

定番のものから新発売のものまで、幅広く。

実際に飲んでおいしいと感じたものを集めました。

 

さっそくいってみましょう。

 

厳寒の冬におすすめしたい秋田の日本酒9選

今回は、冬を11月下旬から。

そして、新年会シーズンの1月下旬までに発売される日本酒を中心にえらんでいます。

 

打ち上げの席での日本酒選びに。

帰省した際の日本酒選びに。

 

ぜひ、参考にしてみてくださいね。

 

雪の茅舎 純米吟醸 生酒(齋彌酒造店)

雪の茅舎 純米吟醸 生酒

1本目は、ボジョレーの時期に合わせて飛び込んでくる日本酒ヌーヴォー。

『雪の茅舎 純米吟醸 生酒』です。

 

アパレル業界並みのスピードで秋田に冬を告げる1本ですが、実は、雪の茅舎の新酒“第2弾”にあたります。

第1弾は、“荒走り”。

どこよりも早く発売され、高いアルコール度と荒々しさを飲みやすく仕上げているのが特徴です。

では第2弾はというと……

 

“花を思わせる香りとジューシーさに、生酒のあざやかな風”

 

火入れの純米吟醸にはない明るさがあり、冷たさとの相性がバツグンです。

凛とした口当たりは、夏に求める『涼』とはちがいます。

口に広がるのは、冬の空気感。

水風船を割ったようなジューシーさを、重みなく飲ませてくれます。

 

口で香って、鼻でも香る。

風が吹いたかのように香るフルーティーさに、「さすが雪の茅舎!」と膝を打ちたくなる1本です。

 

※ここがポイント!

 

  • 買える場所を選ばない(スーパーでも買える)
  • ありがたいコスパ(720ml:1,815円)
  • 温度が上がってきてもうまい!

 

やまとしずく 純米吟醸 一穂積(秋田清酒)

やまとしずく純米吟醸 一穂積

先に言わせてください。

これ、ちょっとうますぎます。

 

2本目は、11月下旬頃発売。

『やまとしずく 純米吟醸 一穂積』です。

 

一穂積は、新潟の『越淡麗』と秋田の『秋田酒こまち』を親にもち、“両者のいいとこ取り”という印象でした。

なので、淡麗かつ上品。

言葉にすると美しさが際立ちます。

ですが、酒米として見ると……

個人的には“飲めばやや弱い”というイメージが抜けませんでした。

 

そんな一穂積を、やまとしずくが、秋田流生酛仕込みでぶち壊しました。

 

輪郭のくっきりとした甘み。

きれいなコクから砕けて消えていく後味。

舌に残していくあざやかな香り。

なだらかな弧を描くイメージのあった一穂積が、ピンと跳ねます。

 

この1本、心からおすすめです。

 

※ここがポイント

 

  • 冬にしぼって春夏びん貯蔵。味の乗りがいい。
  • 一穂積×秋田流生酛が好相性。
  • うまい!

 

一白水成 特別純米 ささにごり 生酒(福禄寿酒造)

一白水成 特別純米 ささにごり 生酒

3本目は、晩酌に降る淡雪。

『一白水成 特別純米 ささにごり 生酒』です。

 

この1本も、まあ〜〜〜〜〜おいしい!

 

一白水成のスタンダード『良心』の『うすにごりver.』なのですが、飲み比べれば驚くほどちがいます。

香りの立ちがよく、りんごのような甘酸っぱさにオリの白。

口当たりはガツンとくるのにまろやかで、冷たさが新鮮さを際立たせます。

 

この新鮮さがオリの重みをふわふわにしてくれて、まあ〜〜〜飲みやすいんです!

余韻には『苦み渋み』もあるのですが、それすらもうまい。

うすにごりなのに透明感を感じたほどです。

 

実は今回、『良心』『袋吊り』『ささにごり』の3本で飲み比べてみました。

いい酒はやっぱり『袋吊り』。

舌でほどけるやわらかさがありました。「さすが出品用とおなじ搾り方!」という感じです。

 

ですが、うまい酒となると『ささにごり』に軍配があがります。

個人的には頭ひとつ抜けていました。

いうなれば、記憶に残る1本。

私にかぎらず、毎年発売を心待ちにしている方も多いのではないでしょうか。

 

ちなみに、発売こそ11月下旬頃ですが、販売時期は比較的長いです。

1月、2月に読んでいる方も、まだ間に合います。

地酒屋さんで見かけたとき。

居酒屋さんで見かけたとき。

ぜひぜひ、お飲み逃しなくどうぞ。

 

※ここがポイント

 

  • 使用米は『吟の精』と『秋田酒こまち』
  • 販売期間が長め
  • 飲んでおいしい、見て美しい

 

一白水成 純米吟醸 生酒 槽垂れ(福禄寿酒造)

一白水成 純米吟醸 生酒 槽垂れ

この1本のために、ここにきた。

 

4本目もおなじく一白水成から。

『一白水成 純米吟醸 生酒 槽垂れ』です。

 

美山錦を50%まで磨いて、かさねた酒袋の重みだけでしぼる『槽しぼり』でしぼった1本。

そう1文で伝えることはできます。

が。

しかし。

But!

この1本の魅力はカタログでは語れません。

 

数年前、秋田の地酒が一堂に会するイベントに参加してきました。

中央の長テーブルにならぶ地酒を、丸テーブルで囲んで飲み交わすイベントです。

もちろん、すべての地酒が飲み放題。

35すべての蔵の酒がならびます。

 

なので、よりどりみどり。

どれもが魅力的で、最初は私もいろいろな酒を飲んでいました。

1杯ずつ蔵を変え、銘柄を変え、です。

ところがこの『一白水成 純米吟醸 生酒 槽垂れ』を飲んだ瞬間、私のイベントは終わりました。

 

他のお酒が見えなくなったんです。

 

今日はもうこれだけでいい。

このお酒を飲むために、出会うためにここまできたのだと本気で思ったんです。

そこから先は、迷いなく『一白水成』のもとへ。

イベント終了までずっと飲み続けました。

 

それほどの衝撃。

それほどにうまかった。

何年経てど、あの日を忘れたことはありません。

1本の酒が私にイベントを終わらせた。

 

あの日感じたうまいを、ぜひあなたにも。

 

※ここがポイント

 

  • 発売時期は12月〜2月頃まで
  • 圧力をかけない、やわらかな口当たり
  • 『槽垂れ』の名称は、十四代の高木社長より許可をいただいて名付けられた

 

爛漫 純米吟醸 一穂積 生酒(秋田銘醸)

爛漫 純米吟醸 一穂積 生酒

いま爛漫、きてます。

 

5本目は、パック酒の雄。美酒爛漫の『秋田銘醸』から、

『爛漫 純米吟醸 一穂積 生酒』です。

 

爛漫の一穂積といえば、コンビニでも見かける『萌稲』が有名ですが、こちらは特約店限定の1本。しかもこの時期らしく、『生酒』です。

 

味わいは、力強いとまではいかないのに、しっかりと印象を残すジューシーさがあります。

ファーストタッチに感じたのは、“らしくなさ”。

 

「あれ、これ一穂積?」

 

という感想でした。

ところがどっこい。どっこいですよ。

明るくて重くないジューシーさが、やわ〜〜く消えていくんです。

このやわい消え方があとを引くんですよ。

ひとくち、もうひとくちとグラスが傾いて、ついつい飲みすぎてしまいます。

最終的には、

 

「なんかもう、うまいからなんでもいいや」

 

と感想をあきらめる始末です。

おいしいお酒って、感想を放棄させますよね。

「うまい!」以上、何もいらない。

難しいことはいいから、見かけたら飲んでみてほしいと強く思う1本でした。

 

ちなみに、2024年の1月にはじめて発売され、2期目は同年の11月末に出ています。

精米歩合も60%から55%になり、日本酒度も−1から+2に。

生まれたばかりの銘柄らしくブラッシュアップを重ねていくのだと思います。

 

追いかけるなら今、ですよ。

 

※ここがポイント

 

  • いち早く一穂積での日本酒づくりに励んだ爛漫の経験値
  • まだ新しい新銘柄
  • 特約店限定販売

 

福小町 純米吟醸 無圧汲み出し(木村酒造)

福小町 純米吟醸 無圧汲み出し

社会人ともなればプレッシャーが付きものです。

重圧、加圧。上から圧に押しつぶされそうな毎日を送られている方も多いのではないでしょうか。

そんなあなたにこその6本目。

『無圧』

です。

 

1月中旬発売の『無圧』。

純米吟醸のもろみに、圧をかける前に滴りおちる

“圧のかからない部分”

それだけをびん詰めしたという、珠玉の1本です。

 

「味わいは〜」といきたいところですが、特筆すべきは香りにあります。

さすがはきょうかい1801号酵母。

品評会用として人気なだけあって、香りがピカイチです。

美山錦との相性もバツグンで、口の広いグラスに注いでもよく香ります。

 

味わいは、『無圧』『汲み出し』の文字から甘口をイメージして飲むと、やや辛口。

それも華やかさが弾ける辛口です。

濃いうまみをやわらかくほどいてくれるので、“飲みごたえ”と“飲みやすい”が共存しています

 

とはいえこの1本、アルコール度が16.5度とやや高めです。

1杯目に飲むと“飲みごたえ”が勝り、アルコール感が舌奥に残りました。

なので、2杯目以降。

舌がアルコールに慣れてきた頃に、香りを楽しみながら飲むのがおすすめですよ。

 

※ここがポイント

 

  • 美山錦×きょうかい1801号酵母
  • 香りの立ちがすんごい
  • ノンプレッシャー

 

大納川天花 純米吟醸 無濾過生原酒 ハートラベル(大納川)

大納川天花 純米吟醸 生 ハートラベル

この甘みの感じ……

大納川にしか出せないのではないだろうか。

 

ということで、7本目は大納川から。

『大納川天花 純米吟醸 無濾過生原酒 ハートラベル』です。

 

天花シリーズのほとんどに使われている蔵付き酵母が、ここにしかない味わいを生んでいます。

というのも、香りの甘酸っぱさがいい意味で独特なんです。

『甘い』というより『あま〜い』。

かならず『〜』を付けたくなる、なんだか親しみのある香りがします。

 

そしてその香りは、味わいにも見事に反映されているんです。

ハートの愛らしさが、そのまま味わい。

繊細なガスで甘酸っぱさが跳ねます。

さらに、秋田酒こまちの“まあるい甘み”がよく膨らみます。

そして、ここからです。

 

キレ!はなく、消えていく後味。

この消えていくまでが長くて、その時間がおいしいんです。

日本酒を相手につかう言葉ではありませんが、こうとしか言えません。

 

“可愛らしい味わい”

 

さすがは大納川のエースです。

『ハートのエース』ならぬ、『ハートがエース』。

一度でも大納川を飲んだことがあって、一度でもおいしいと感じたことのある方は、ぜひ飲んでみてください。

「そうそう、こういう感じ!!」

と、大納川天花らしさに膝を打つことまちがいなしですよ。

 

※ここがポイント

 

  • 大納川不動のエース!
  • 可愛らしいラベルがそのまま味わいに
  • 大納川天花を知るなら、まずはここから

 

春霞 冬ラベル 純米生酒(栗林酒造店)

春霞 冬ラベル 純米生酒

8本目は、春霞のド定番が大きくリニューアル。

『春霞 冬ラベル 純米生酒』です。

 

新商品のような顔をしていますが実は、『赤ラベル純米生酒』をデザインから見直した1本となります。

プリントされた鳥海山は、蔵のある美郷町からみた冬景色をイメージしているのだそう。

シンプルながら味のあるラベルに変わりましたよね。

実は、飲む前から「この1本はおすすめに入れよう」と思ったほど、私のお気に入りだったりします。

 

おおよその甘辛度をあらわす日本酒度は±0。

中口どまんなかの数値です。

実際に飲んでみるとほどよい甘酸っぱさに芯が通っていて、冷たさに負けません。

キンキンの状態だと、凛とした口当たりのまま舌を通ります。

 

ボトルに水滴がつくくらいの温度になると、味わいが開いてきて『いつもの春霞』に。

イチゴのような酸が心地よく広がります。

ひとくちふたくちと重ねると、きれいな酸も重なっていくのがたまりません。

 

「やっぱり美郷錦といえば春霞だよなあ」と、おもわず納得してしまう1本でした。

 

※ここがポイント

 

  • 赤ラベル純米生酒のリニューアル品
  • 今年からプリント瓶に
  • 蔵の酒の約8割が美郷錦使用という安心感

 

飛良泉 FOURSEASONS 冬 しぼりたて(飛良泉本舗)

飛良泉 FOURSEASONS 冬 しぼりたて

ラストを飾るは、にかほ市から見た鳥海山の四季。

『飛良泉 FOURSEASONS 冬 しぼりたて』です。

 

四季の名のとおり、シリーズは全部で4種。

4本ならべると1座の鳥海山になるという、お茶目でおしゃれなブランドです。

なかでもこの『しぼりたて』は、はじまりの1本になります。

 

春からではなく、冬からのスタート。

 

“仕込みのはじまる季節”からという、なんとも日本酒ならではの考え方ですよね。

 

そんな『四季のはじまり』ですが、味わいはやや辛口です。

山廃らしい酸っぱさは白くてまろやかで、何より新鮮。

重くなりがちな山廃を、軽快な口当たりで楽しめます。

 

正直、この1本……1杯目からいけちゃいます。

それくらいサッパリとしていて、飲みやすいんです。

飛良泉の山廃らしさを残しながらも、飲み慣れていない人でも飲みやすい。

そんな、若き蔵元がおなじ世代に向けたように感じる1本でした。

 

この1本、若く、そして新しいですよ。

 

※ここがポイント

 

  • FOURSEASONS、はじまりの1本
  • 癖のあるイメージの山廃を軽妙に
  • 4本ならべるお楽しみ

 

参考までに、筆者のイチオシはこれだ!

ぶっちゃけこの1本。

「これを紹介したくてこの記事を書いた」と言ったら、ちょっと過言になってしまう1本があります。

それがこれです。

 

『やまとしずく 純米吟醸 一穂積』

 

クドいようですが、はじめて飲んだとき衝撃を受けました。

私の知ってる一穂積ではない、と。

私のイメージしていた一穂積は、ゆるやかな山。

ピークが存在せず、口当たりから飲みこむまでがずっとなだらかな印象だったんです。

ずっとやさしくて、仄かに甘酸っぱい。

『飲みやすさ』に特化した1本。

そんなイメージでした。

 

ですが、完全に覆りました。

 

やまとしずくが、秋田流生酛仕込みが、一穂積の味幅の広さを教えてくれたんです。

『飲みやすい』から『飲みごたえ』まで。

まだまだたくさんの可能性があるのだ、と。

 

この1本、うまいですよ。

 

※秋田流生酛仕込みにも触れた個別記事があるので、よければそちらもどうぞ。

 

『やまとしずく 純米吟醸 一穂積』の感想・レビュー:生酛との相性バツグン!

 

厳寒の冬に飲みたい秋田の日本酒9選:まとめ

日本語っておもしろくて、

 

  • 新酒
  • しぼりたて
  • 初しぼり
  • 寒仕込み

 

などなど、さまざまな言葉で始まりの1本を彩りますよね。

毎年のことながら、かわらず胸が高鳴ります。

だってそうじゃないですか。

 

毎年発売されるけど、まったくおなじ味にはならない。

それは日本酒が生き物だから、という面もあります。

ですが、それだけではないはずです。

 

仕込みのない時期に設備を変えるところだってあります。

造りをイチから見直すところもあります。

蔵人の増減。

体制の変わる蔵だってあるはずです。

日本酒は生き物ですが、人間だって生き物ですから。

 

今年の味わいは、今年しか味わえないかもしれません。

今年の新酒を思いきり楽しんじゃいましょう。

小さな変化を、大きな変化を、たくさん味わっちゃいましょう。

この記事は、いまこの瞬間から過去になっていきます。

なので、あくまで参考までに、です。

 

さあ、今年の冬も、うまい酒がバンバン出てきますよ。

今日も飲みましょうっ!

 

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございます。

ではでは!

 

※冬はこちらもおすすめ

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