『天寿 純米酒』の感想・レビュー:ジリジリした酸味とうまみが、定番ながら個性に

天寿・鳥海山(天寿酒造)
この記事は約5分で読めます。

こんばんは、いしかわです。

 

今回は、令和はじまりの年に『世界酒蔵ランキング6位』に輝いた『天寿酒造』のスタンダード。

『天寿 純米酒』を紹介していきます。

 

『天寿』に込められた意味や、どんな日本酒なのか。

そして、どんな味わいに感じたのかを伝えていきますので、最後まで楽しんでいってくださいね。

それでは、いってみましょう。

 

『天寿 純米酒』ってどんなお酒?

『天寿 純米酒』は由利本荘市の天寿酒造がつくる、シリーズでももっともポピュラーな1本です。

 

天寿酒造の歴史は古く、創業は1874年。

約150年の歴史、伝統を兼ねそなえた秋田の古豪です。

 

『天寿』に続く言葉といえば、『全うする』ですよね。

『天から授けられた寿命を全うする』

転じてこの酒銘には、こんな願いがこめられています。

 

“顧客が長生きしますように”

 

酒は百薬の長という言葉がありますが、『天寿』はまさに“人を生かす”ための1本。

飲んだ人を幸せにするための酒造りが、天寿の根幹にはあります。

 

そんな『天寿』のスタンダード。『純米酒』ですが、伝統的だけで終わる日本酒ではありません。

その実績は現代でも鋭く輝き、直近のものだと、

 

  • 全国燗酒コンテスト2020 プレミアム燗酒部門『金賞』
  • インターナショナル・サケ・チャレンジ2020『金賞』

 

など、めざましいものばかり。

 

とくに燗酒コンテストの成績は、飲み方の幅を広げるものです。

飲み方の自由度が高いということは、よりコスパに優れた1本といえますよね。

 

とはいえ。

とはいえ、です。

 

やはりクラシカルな日本酒となれば、構えてしまいますよね。

重い、強い、濃い。

さまざまな不安があるかと思います。

 

実際、私がそうでした。

どうしても食指が動かない。

クラシカルなお酒は何度も好みから外れているので、戦々恐々でした。

なので、クラシカル=マイナスなイメージが付いて離れません。

そんな私の感想がどう着地したのか。

ご覧ください。

 

『天寿 純米酒』を飲んでみて

この1本の味わいを一言であらわすのならこうなります。

 

“酒質はやわらかいけど、酸が主張してくる”

 

香りからはやや生酛感。

ヨーグルトのような酸が奥から上がってきて鼻をくすぐります。

 

味わいからは、ジリジリとした酸味。そしてうまみ。

後味がクリアーなので飲みやすさがあります。

 

舌に乗る感覚はやわらかく、軽いです。

ただ、酸が主張してくるので強い味わいに感じます。

とはいえ、主張といっても無理難題のゴリ押しではありません。

あくまでも癖の少ない酸味。

主張が苦には感じませんでした。

 

全体とおしてやや曇った酸がありつつも、うまみとやわらかさで飲みやすいです。

定番商品だから『普通』……ではなく、そこで終わらない個性。

世代が上がれば、刺さる方はもっともっと増えるのではないかと思います。

 

また、『熱燗』が美しい味わいでした。

酸味がおだやかになるので、うまみがよく伸びます。

辛さは感じず、表に出るのはもともとの甘み。

この甘みをおいしいと感じるかで感想は変わってきそうです。

 

ちなみに私は、熱燗のほうが好みでした。

 

『天寿 純米酒』の商品情報

  • 使用米:契約栽培酒造好適米
  • 精米歩合:65%
  • アルコール分:15度
  • 使用酵母:協会9号
  • 日本酒度:+3.5
  • 酸度:1.4

 

まとめ:若い世代よりは40代以上。古豪が送る、飲み慣れた方向けの1本

正直にいえば、若い世代にはまだ早いかなと感じました。

 

この1本は、クラシックとモダンのあいだ。

古くはないけど新しくもない。

これから日本酒を飲む世代にはまだ早く、フリークの目には映らない。

そのかわり、固定客の心はガッチリと掴んでいる。

むしろ、その『固定客』のために造っているお酒という印象を受けました。

 

人の好みは年月とともに変化します。

令和の酒を飲んできた世代が、いつか『固定客』とおなじ年齢層になったときにどう感じるのか。

『天寿 純米酒』は、日本酒好きが長く付き合うことになりそうな1本です。

 

今のあなたがどう感じるのか。

そして、10年後。

あなたはどう感じるのか。

好みの移り変わりを楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

それでは、今回はこのへんで。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

ではでは。

 

※熱燗でおいしい秋田の地酒をいくつか紹介しているので、あわせて読んでみてね。

 

タイトルとURLをコピーしました