『高清水 夏の純米』の感想・レビュー:きたきた低アル、夏向けだー!

秋田の地酒
この記事は約7分で読めます。

こんばんは、いしかわです。

 

さっそくですが謝らなければなりません。

私、この『夏の純米』……

 

安すぎて敬遠していました。

 

『安かろう悪かろう』という言葉があるように、安いものにはリスクが付き物。

特に、安さで選んで失敗した経験がある人ならなおさらです。

 

「失敗するくらいなら値段気にせず、お気に入りの蔵の季節商品を買ったほうがいい」

 

というのが、当時の私の本音でした。

ですが今回。

そんなイメージが。

『安かろう悪かろう』のイメージが崩れました。

 

ちょっと詳しく見ていきましょう。

 

『高清水 夏の純米』ってこんなお酒

『高清水 夏の純米』は、『美山錦』を100%使用した『低アルコール酒』です。

低アルコールといっても、やはり日本酒。

アルコール度は12.5%を数えます。

一般的な日本酒が15〜17%くらいなので、低いといっても3、4%ほどですね。

 

「え、たったのそれだけ?」

 

思いませんでしたか?

そうなんです。たったのそれだけです。

2025年に発売された『アルゴ(アルコール5%)』(月桂冠)のような一目でわかる数値ではありません。

 

ですが、この12.5%が良いんです。

 

この一見すると誤差のような差が、「飲めない」を「飲める」に変えるほどの力を持っているんです。

だって考えてみてください。

 

ストロングゼロは、アルコール9%の缶チューハイ。

対してキリンの氷結は5%です。

 

この4%の差って大きくないですか?

ストロングゼロが強すぎて苦手だという方も、氷結であれば飲めるのではないでしょうか。

『ほろよい』と『氷結』で考えてみてもいいですよね。

3%と5%。

たった2%が、好みを決定づけることだってあります。

 

さて、そんな『アルコール12.5%』の『夏の純米』ですが、発売時期は5月と、夏を待てない子。

夏といえば夏ですが、まだ入口です。

毎年、GW明けにビン詰めされて発売されます。

 

そのため、酒質が若いっ。

 

うまみの濃さを表すアミノ酸度は1.0と低めで、熱燗にはあまり向きません。

“キンキンに冷やして飲みやすさを満喫する1本”

そんな風に捉えてみてくださいね。

 

『高清水 夏の純米』を飲んでみて

ここまで読んでいただいた上でこの1本の味わい……

一言であらわすのならこうなります。

 

“しっかりと味がある!”

 

低アルコールの日本酒って、どこかコシが弱い。味わいの幹が細いイメージがあったんです。

なのにこの1本は、味わいに『印象』があります。

 

と言っても、やさしい甘み。

 

どこかが頑張ろうと突出しない、なだらかな甘みが感じられます。

また、数値以上の酸があって、甘みをしつこく感じさせません。

 

とにかくバランスがいい。

 

うまみを残しつつも、低アルコールの軽さを実現しています。

 

後味は、『消える』というよりは『消えている』という感覚でした。

気がつけば無い。

うまみを感じているうちに、舌の奥では消えていってる。

そんな感覚にグラスが進みます。

 

全体を通して

 

“高清水らしさが静かに爆発した低アルコール”

 

という印象でしたよ。

これは夏向けだー!

 

『高清水 夏の純米』の商品情報

  • 使用米:美山錦100%
  • 精米歩合:60%
  • アルコール分:12.5%
  • 日本酒度:-4
  • 酸度:1.4
  • アミノ酸度:1.0
  • 参考価格720ml:1,260円(税込)

 

『春の純米』と比較してみると……

2月発売の『春の純米』と比べてみると感じたのは、“比較する意味のなさ”でした。

 

「なんだそれ?」ですよね(笑)

 

これにはちゃんと理由があるので、まだ消さないでください。お願いします。いや、ほんと。お願いします。

 

というのも、『春の純米』と『夏の純米』のコンセプトはまったく別物。

地続きのシリーズとは感じないくらい、違う1本なんです。

 

『春の純米』はというと、まるで“しぼりたて”。

火入れの落ちつきのなかに、メロンのようなみずみずしさがありました。

このフルーティーさがもう衝撃的で!

いい意味で奥行きがなく、若いフルーティーさ。

そのため飲み疲れません。

いつまでも青いメロンのような香味が楽しめました。

 

対する『夏の純米』は、フルーティーさではやはり劣ります。

ただその分、飲みやすい。

圧倒的です。

しかも、しっかり日本酒として、日本酒のまま飲みやすいんです。

まさに夏向け。

『夏の純米』の名に偽りなしでした。

 

まとめ:文字どおりの夏向け。時代と季節に合った1本

どんどん流行り、どんどん進む『低アルコール化』。

すでにたくさんの酒造が動き出しています。

 

いち早く動いた酒造。

試験的に少ないリッター数で仕込む酒造。

動かない酒造。

 

さまざまな思惑が見え隠れしていますが、最終的に勝つのは『いち早く動いた酒造』だと思っています。

なぜなら、成功すれば先駆者に。

失敗してもノウハウにできるからです。

 

そして何より、蔵がいきいきしているように見えるからです。

 

これは私だけかもしれませんが、ワクワクしたいんです。

『おいしい』ことが当たり前になった時代で、『おいしいだけ』のものにワクワクはしません。

それ以上の理由が欲しい。

他ではなく『それ』を手に取る理由を求めているんです。

 

『高清水 夏の純米』には、手に取る理由があります。

 

これから進む時代に。

『低アル』の時代がさらに進む前に、知っておいて損のない1本です。

見かけたらぜひ、あなたも手に取ってみてくださいね。

 

それでは、今回はこのへんで。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

ではでは。

 

※おすすめの夏酒でまとめていますので、あわせて読んでみてね。

 

タイトルとURLをコピーしました