こんばんは、いしかわです。
『人は見た目が9割』なんて言葉がありますが、日本酒だってそうですよね。
まずは手に取ってもらうこと。
そのためには目に留まるデザインやネーミングが必要になります。
たとえば、山本酒造店。
奇抜なデザインやネーミングが光りますよね。
『山本』というだけで思わず手に取ってしまう方も多いのではないでしょうか。
さらにそこに『味』がついてくれば、放っておいたもSNSが賑わうというものです。
「おもしろい酒があった」から始まり、「うまかった」で終わる。
伝統のなかにはなかった新しい楽しみ方だと思います。
となると、『雪中貯蔵』はどうなのか。
ちょっと詳しく見ていきましょう。
『北鹿 雪中貯蔵 大吟醸』ってどんなお酒?
『北鹿 雪中貯蔵 大吟醸』は、北秋田市の『北鹿』がつくる大吟醸酒です。
『北鹿』といえば『北秋田 大吟醸』が有名ですよね。
大吟醸でありながらも1,100円ほどで買えてしまい、超がつくほどリーズナブル。
“全国のスーパーでもっとも売れている大吟醸”としてよく知られています。
『雪中貯蔵 大吟醸』もまた、コスパの化け物です。
価格はなんと、720mlで1,342円。
しかも税込みです。
値上がりの流れが著しい日本酒業界で、いまだ破格をいきます。
とはいえ、大吟醸もピンキリですよね。
安価な大吟醸は平凡な味わい。
どこかに持ち味がないと埋もれてしまいます。
では、『雪中貯蔵』の持ち味はどこにあるのか。
その答えはそのままネーミングにありました。
『雪中貯蔵』とは、雪国にしかできない貯蔵方法。
雪のなかにタンクを埋めて熟成させることを言います。
「いまの時代、冷蔵庫でいいんじゃないの?」
と思われたかもしれません。
実はこの『雪中貯蔵』という方法……
パフォーマンスだけではないんです。
というのも雪のなかって、常に0℃以下。
たとえば、一般的な冷蔵庫の温度は3〜5℃ほどです。
しかも『霜取り』や『扉の開閉』があるので、一定ではありません。
文明の利器ってデリケートなんです。
『一定』を保つには配慮が必要になります。
となると、雪のなかは『最適』。
秋田が生んだ『かまくら』という容れ物が、日本酒づくりでも輝きを放ちます。
『一定の温度』であることが、日本酒を『劣化』ではなく『熟成』させてくれます。
それも、ゆっくりと。じっくりと。
そしてこの秋田らしい最適解は、味わいにもしっかりと出ていました。
『北鹿 雪中貯蔵 大吟醸』を飲んでみて
これはもう、この一言に尽きます。
“2度の重み”
実はこの1本、アルコール度数が17度です。
なのでアルコール感が付いてきます。
まずは香りです。
立ちが良くて、グラスの外まで香ります。
“ふち”から溢れてるのではないかと錯覚するほどの甘みに、アルコールが重いです。
味わいにも、甘みの上に強めのアルコール感。
酒質が若いのか、仄かに苦みがついてきます。
そして特筆したいのがこれです。
口当たり。
さらさらとしたキメ細かな感触があります。
良くも悪くも大吟醸らしくない感触に、ふしぎな感覚を抱きました。
ちなみに、甘い辛いで言えばどちらとも言えません。
日本酒度は-0.5と、中口です。
ただ、甘みは感じつつも強いアルコール感でキリリと締めます。
この『強いアルコール感』がなかなかの主張です。
重い。
『雪中貯蔵』によりカドが取れていたとしても、余韻の強さは消えていません。
“涼しげな味わいの奥に、目をそらせないアルコール感”
惜しいと感じる1本でした。
『北鹿 雪中貯蔵 大吟醸』の商品情報
- アルコール分:17度
- 日本酒度:-0.5
- 酸度:1.3
- 精米歩合:50%
まとめ:秋田ならではの貯蔵でやわらかさと重みを残した1本
その日最初の1杯と仮定すると、やはりアルコールの強さが気になる1本です。
特に、余韻の部分。
ここでキレではない上がり方をされると印象がよくありません。
が。
しかし。
しかしです。
それは舌がびっくりしているからです。
慣れてくれば重みは感じなくなります。
飲み進めれば、いつの間にか飲みやすい。
さらに、コスパもいいときています。
『北鹿 雪中貯蔵 大吟醸』は、1杯目と3杯目では評価がガラリと変わる1本です。
ぜひ、ゆっくりと舌を慣らして飲んでみてください。
また、日本酒にもオン・ザ・ロックという飲み方があります。
強いな、と感じたら試してみてくださいね。
それでは今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ではでは。
※飲みやすくてオススメな秋田の日本酒でまとめてみたので、合わせて読んでみてね。