こんばんは、いしかわです。
縦書き『鳥海山』シリーズの夏酒といえば、ボトルからも涼を感じるこの1本。
『爽快辛口』。
発売時期が5月上旬とアパレル業界も真っ青なスピード感ですが、ネーミングもまっすぐで、見ただけで夏を連想させますよね。
ちょっと詳しく見ていきましょう。
『鳥海山 純米吟醸 爽快辛口』ってこんなお酒
『爽快辛口』は、天寿酒造が特約店用につくりあげた夏限定の1本です。
アルコール度は14度とやや低く、酒米には契約栽培米の『秋田酒こまち』が。
酵母には『KT901酵母』が使われています。
と、サクサクいこうと思ったのですが、ちょっと待ってください。
『協会9号(泡なし)』の略し方って『K‐901』じゃありませんでしたっけ?
世代的に『KT』と言われると『小室哲哉』しか浮かびません。あちらは『TK』ですが。
あとは、低気圧などの速度をあらわす『KT(ノット)』でしょうか。
いずれにしても酵母とは無関係。なぞの酵母のままです。
このままにはしておけないので調べてみました。
どうやら『KT901酵母』とは、『K‐901酵母』を親にもつ新品種。
「最近の清酒には酸が足りない」
という指摘があり、より酸が生成できる酵母をめざして作られたのだそうです。
そう考えると、『爽快辛口』の酸度は1.7。
酵母の恩恵をしっかり受けていると言えそうですね。
ちなみに、冬に発売される『天寿 かすみ純米』にも『KT‐901酵母』が使われています。
アルコール度も14度と似ているのですが、あちらは美山錦100%。
またちがった味わいが楽しめます。
時期は被りませんが、記憶のなかで飲み比べてみるのもいいかもしれませんね。
さて、そんな『爽快辛口』ですが、本当に特筆すべきはここにあります。
日本酒度。
なんと+10なんです。
+6から上を大辛口と呼ぶ世界で、しれっと二桁を記録します。
『酸』と『辛さ』と『低めのアルコール度』。
合わさってどう感じたのか。
感想に移りましょう。
『鳥海山 純米吟醸 爽快辛口』を飲んでみて
この1本の味わいを一言であわらすのならこうなります。
“終始軽快”
ふんわり香る甘みは秋田酒こまちらしく、親しみや人懐っこさを感じます。
味わいは、香りと逆行く堅実な辛さ。日本酒度+10。
……のはずなのですが、香りの甘みが生きていて、辛さのなかにも酒こまちらしい『酸』と『甘み』が感じられました。
そして何より、季節感がスゴイです。
『ALC.14度』と『秋田酒こまち』の軽さが絶妙にマッチしています。
さらに、すっきりとした酸味がふわりとした味わいの良いアクセントになっているんです。
だから、舌に残らない。
うまみが第一に来ないので終始軽快。
まさに“THE・夏酒”と呼びたくなる1本でした。
『鳥海山 純米吟醸 爽快辛口』の商品情報
- 使用米:契約栽培米『秋田酒こまち』100%
- 精米歩合:55%
- アルコール分:14度
- 酵母:KT901
- 日本酒度:+10
- 酸度:1.7
まとめ:夏酒ってなんだろう?そんなときに思い出す1本
はじめてこの『爽快辛口』を飲んだときの感想は、
「おお、酒こまだ酒こまだ」
それくらい“ふわり”とした甘みと、濃さの伴わない辛さを感じました。
「加水して14度台にしないとこの軽さは出ないのでは?」
と本気で考えるほど、“ふわり”としていたんです。
考えても答えは出ないのに、です。
あまり他の蔵のお酒を引き合いに出すものではないのですが、少しだけ名前を挙げさせてください。
日の丸醸造の『うまからまんさく』は、日本酒度が+8。
浅舞酒造の『天の戸 醇辛』が+9です。
どちらも数値上では『爽快辛口』よりも『甘い』方に分けられます。
が。
しかし。
But!
より甘みを感じたのは『爽快辛口』の方でした。
『うまからまんさく』は、お米のうまみに辛さが。
『天の戸 醇辛』は寝かせのなかに辛さがそれぞれ感じられて、数値だけでは測れない味わいが楽しかったです。
不思議ですよね、日本酒って。
それでは今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ではでは。
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