『天の戸 純米酒 星あかり仕込み』の感想・レビュー:濃いのに沈まない。

天の戸(浅舞酒造)
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こんばんは、いしかわです。

 

おしゃれなラベルの秋酒が出ましたね。

『星あかり』

耳に馴染みはないけれど、明るくて温かな響きがあります。

ちょっと詳しくみていきましょう。

 

『天の戸 純米酒 星あかり仕込み』ってどんなお酒?

私もそうなのですが、「星あかりってなんぞ?」って思いますよね?

お酒の名前になっているくらいなので、おそらく『酒米』。そこまでは想像できます。

ですが、あまりにも馴染みがない。

『秋田酒こまち』や『吟の精』が有名すぎるだけで陰に隠れてしまっているのかと言われれば、それもNOです。

 

というのもこの『星あかり』……生産量が劇的に少ないんです。

 

『星あかり』はもともと、東北電力が地域振興のために開発した酒米でした。

秋田では『天の戸』『阿櫻』。そして『まんさくの花』の日の丸醸造さんが、『巡米酒』シリーズのひとつとして販売しているので見たことがある方は多いかもしれません。

が、それは“秋田だから”なんです。

 

実は『星あかり』の生産量は、酒米全体の0.01%。

 

『美山錦』を親にもつ酒米として期待されていましたが、硬くて溶けづらい。

その扱いは難しく、ついに浸透することはありませんでした。

なので、いまや希少も希少。

一部の契約農家さんだけがつくる珍しい酒米となっています。

 

さて、そんな『天の戸 純米酒 星あかり仕込み』ですが、ラベルが特徴的ですよね。

このラベルの文字は、秋田で活躍される書家の佐藤佳奈さんによるもの。

なんと筆には『星あかりの稲穂』を用いたそうで、ラベルも星あかり仕込みとなっています。

 

『天の戸 純米酒 星あかり仕込み』を飲んでみて

この1本の味わいを一言であらわすのならこうなります。

 

“濃いのに沈まない”

 

香りは立ちが良く、白い酸味にバナナのようなフルーティーさが乗ります。

味わいは、さすが精米歩合77%!

舌に沁みません。

それなのに味わいはしっかりと広がるんです。

口当たりには丸みがあって、舌の上で濃いんです。

もしかすると、秋酒として見ればやや軽いかもしれません。

ですが甘みが濃く、酸には穏やかなキレが。

けっして物足りなさはありませんでした。

 

キンキンに冷やすと淡麗な舌ざわりが際立つので、ほんのり青みある酸が引き立ちます。

なので、おすすめはキンキンに冷やして……

と言いたいところだったのですが、個人的には常温に近い温度がいちばんグッと来ました。

 

グッと味わいが深まります。

 

より秋酒らしい雰囲気を纏うので、ぜひお試しあれですよ。

 

『天の戸 純米酒 星あかり仕込み』の商品情報

  • 使用米:星あかり
  • 精米歩合:77%
  • 酵母:協会701号
  • アルコール:16度
  • 日本酒度:+3.5
  • 酸度:2.3

 

まとめ:希少かつ扱いにくいとされる星あかりを、現代の技術で

これ、私だけではないと信じたいのですが、精米歩合が70%を下回ると身構えます。

お米を磨いてない=雑味がある。

そのイメージが、ひとつのトラウマとして私に根づいているからです。

「日本酒を嫌うきっかけになった」とも言えるかもしれません。

 

なので、今回の1本。

かなり不安があったんです。

「77%か……どうしよう」

葛藤がやまず、買うまでに日を要しました。

 

ですが『天の戸』です。

『美稲』『醇辛』『ランドオブウォーター』の、あの『天の戸』なんです。

最終的にはやっぱり『天の戸』の名に魅かれました。

 

古くから活躍されている蔵の、希少米への挑戦。

 

この1本、おもしろいですよ。

 

それでは今回はこのへんで。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

ではでは。

 

※おすすめの秋酒でいくつかまとめてみたので合わせて読んでみてね。

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