こんにちは。さるあみ改め、いしかわです。
先日、ある酒屋さんで日本酒を選んでいると、若い男女のグループが入ってきました。
そして、レジまで行くと一言。
「新政No.6ってありますか?」
店員さんが「今月分はすべて出てしまった」と答えると、そのグループは冷蔵ケースへと向かいました。
私自身、聞き耳を立てるつもりはなかったのですが、大きくはないお店なので話声はすべて聴こえてしまいます。
「新政ないんだったら何買ったらいいんだろう」
「こうなるとジャケ買いしかないよね」
会話からは“仕方ないから他のお酒を”という気持ちが伝わってきました。
やはり新政。さすがの知名度です。
取り扱いのあるお店に入ったのなら、まず存在を確認したい。
その気持ちは痛いほどわかります。
ですが、ちょっと待ってください。
もったいない。もったいないです。
だって、新政の在庫はなくとも、その酒屋さんにはこのお酒があるのですから。
『杜氏小番 特別本醸造』(佐藤酒造店)
出羽の冨士をつくる杜氏『小番力』氏が心をこめて造りあげた、自身の名を冠した1本です。
『杜氏小番 特別本醸造』ってどんなお酒?
杜氏自身の名を冠するということは、よほど特別な日本酒。
小番力氏の理想をあらわしたお酒と見ていいはずです。
名称区分は、令和では珍しくなった『特別本醸造』。
本醸造というとあまり良い印象をもたないかもしれません。
特に、純米酒中心となった現代では、耳に馴染みもなくなってきました。
ですが。
ですがです。
『出羽の冨士』の『本醸造』をあなどってはいけません。
秋田県産の美山錦のみを使い、精米歩合はなんと55%。
造りが違うだけで『吟醸酒』となんら遜色はありません。
さらに、ネーミング。
杜氏の名を付けることの重みは計り知れません。
『杜氏小番 特別本醸造』は、杜氏の腕だけでなく、顔の見える1本です。
なので、『本醸造』だからという理由で遠ざけるには、あまりにももったいないお酒なんです。
『杜氏小番 特別本醸造』を実際に飲んでみて
『杜氏小番 特別本醸造』の味わいを一言であらわすのならこうなります。
“あっという間に飲みきった1本。迷いなくリピ買い”
味の感想が微塵も入っていませんが、もはやこれに尽きます。
感想なんてどうでもよくなるほどスムーズに進むグラス。
「ほどよい」「ちょうどよい」という言葉は、このお酒のためにあるのかもしれません。
まず米由来の甘さって、こんなにも明るく引き出せるものなのですね。
重くもなく、やさしくてちょうどよい軽さ。
甘『過ぎる』なんてことはまったくありません。
これでいい。
いや、これがいい。
きっとここが中間です。
おもわず唸り、うまい!の声が漏れます。
冷やして常温でもおいしいのですが、オススメは燗です。
燗といっても難しく考えることはありません。
レンジで30~40秒。
ワット数によっても違ってきますが、700W40秒だと熱すぎるくらいになります。
量によっても左右されるので、お猪口で温める際には温めすぎに注意してくださいね。
「あ、いいかも」
と思える秒数に出会えると、燗が楽しくなります。
『杜氏小番 特別本醸造』は、温めることでため息の漏れる味わいになるので、ぜひ試してみてくださいね。
『杜氏小番 特別本醸造』の商品情報
- 特定名称区分:特別本醸造
- アルコール分:16度
- 原材料名:米(国産)、米麹(国産米)、醸造アルコール
- 原料米:秋田県産美山錦100%
- 精米歩合:55%
- 内容量:720ml
『杜氏小番 特別本醸造』の感想・レビュー:まとめ
『杜氏小番 特別本醸造』を飲んで覚えたのは、お店で飲む味ではないという感覚。
これはもちろん、いい意味での表現です。
膝をくずして、リラックスして飲む1本。
そこに他人は必要なく、気の置けない友人や支えあう家族。あるいは夫婦。
あるいは、常連だけが集う個人のお店。
そんな“日常に寄り添う日本酒”という印象を受けました。
もし私の感じた印象が正しいのであれば、小番杜氏は本当にやさしい方。
心の温かい方なのだと思います。
この1本に出会えてよかった。
そう心より感謝したくなる1本でした。
それでは、今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。