『太平山 純米酒 ひやおろし 別誂』の感想・レビュー:ガス残しつつ、秋。

太平山(小玉醸造)
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こんばんは、いしかわです。

 

賛否あるかもしれませんが好きなんです、このラベル。

商品スペックがそのままデザインになっていて、わかりやすくも個性的ですよね。

『太平山』を筆記体であらわしているところも、いい意味で意外性があります。

そして何より、このデザインを古強者たる『太平山』で採用していることがたまりません。

 

確実に何かが変わってきています、小玉醸造。

 

ちょっと詳しく見ていきましょう。

 

『太平山 純米酒 ひやおろし 別誂』ってどんなお酒?

『太平山 純米酒 ひやおろし 別誂』は、美山錦を59%までみがいた『超超超小仕込み』の1本。

取り扱いは特約店限定で、発売時期は9月中旬~下旬頃です。

 

『別誂(べつあつらえ)』には『特別に注文してつくること』という意味があり、日本酒では

 

  • ごく限られた店舗にしか卸さない酒
  • ごく小さく仕込んだ酒
  • ひとつのタンクからわずかしか採れない酒

 

などに名付けられます。

 

この『太平山』の『別誂』はというと、『無圧取り』なので3番目。

もろみを搾るときは機械でプレスして圧をかけてやるのですが、実は、圧をかける前に自然と出てくる部分があります。

この部分こそが、圧無く取れる部分。『無圧取り』です。

 

これがほんのわずか。わずかしか取れません。

2024年の『太平山 ひやおろし 別誂』の総本数から計算してみたのですが、615Lほど。

大手なので1万Lタンクを使っていると仮定しても、わずか1割にも満たないんです。

 

とはいえ。

とはいえ、ですよ?

「圧をかけないから何なんだ」と思いませんか?

それが味にどう影響するんだ、と思う人だっているはずです。

これ、味については感じ方なので私から言えることは何もありません。

ですが、これだけは言えます。

 

品評会用のお酒って、すべて無圧取りです。

呼び方と方法こそ違えど、かならず『圧をかけない搾り方』で行います。

それがひとつの答えなのではないでしょうか。

 

さあ、そんな贅沢をゆく『太平山 純米酒 ひやおろし 別誂』ですが、酵母には『きょうかい17号』の泡なし。

その数字に合わせるかのように、アルコール度は17度とやや高めとなっています。

はたしてどんな味わいに感じたのか。

味の感想に移っていきましょう。

 

『太平山 純米酒 ひやおろし 別誂』を飲んでみて

この1本の味わいを一言であらわすのならこうなります。

 

“ガス残しつつ、酸のコク”

 

グラスに注げば確かな色があり、見た目に秋があります。

口にふくめば、力強い酸がビリビリじわぁ。

最初はガスの泡が跳ねるのですが、徐々にアルコールのチリチリ感に変わっていくのがおもしろいですね。

 

スペック上は中口。

ですが、それを感じさせない酸のコクがあります。

ガスを残しつつも口当たりはやわらかく、色味どおりの寝かせが感じられる。

『ひやおろし』らしさがうまいです。

 

キンキンに冷やすよりは、やや常温寄りで。

味わいがより開きますし、口当たりのやわらかさも堪能できるのでオススメですよ。

まだ残暑がきびしいので最初はキンキン。飲んでるうちに勝手にぬるくなっていく。

そのくらいの緩さでいっちゃいましょう。

 

『太平山 純米酒 ひやおろし 別誂』の商品情報

  • 使用米:美山錦100%
  • 精米歩合:59%
  • 酵母:K-1701
  • アルコール度:17度
  • 日本酒度・酸度:醸造年度によって異なる

※限定流通品

 

まとめ:確実な変化。古豪の別誂がいま、アツい。

冒頭でこのシリーズのラベルデザインが好きだとお伝えしたので、ここではこれを伝えさせてください。

私、

 

“このシリーズの味が好き”

 

正直言って最初は、「太平山か……」くらいの気持ちでした。

どちらかというと、「これから」よりも「今まで」を大切にされている蔵。

『雪の茅舎』とおなじく、これまでの顧客を大切にしていく蔵なのだろうと思っていたんです。

だから『別誂』を言われてもなかなか手は伸びませんでした。

 

ところがどっこい。

どっこいですよ。

とある日、いつもお世話になっている酒屋さんが絶賛しているではありませんか。

これで『買わぬ』はあり得ません。

そのきっかけを境に、すっかり虜。

『太平山の別誂』=『買い』という公式ができあがりました。

 

この『別誂』シリーズ……

 

見かけたら『買い』ですよ。

それでは今回はこのへんで。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

ではでは。

 

※追記

 

これは私だけかもしれないのですが、冬季に発売された『別誂』シリーズに限りちょっと苦手な味がしました。

正直にいえば、ちょっと、ではないかもしれません。

ひとくち含んで「これは無理だ」と感じたほどで、飲みこむことができませんでした。

あの味わいがなんだったのか。

インスタグラムで人の感想を見ても絶賛ばかりで、だれも触れてはいません。

「ハーブのよう」「インパクト抜群」という言葉は見かけましたが、どれもしっくり来ませんでした。

私に何かアレルギーがあってそれに反応しているのかな、というのが今のところの見解です。

今冬発売の『別誂』を飲んだらまた追記しますね。

 

※秋酒でいくつかまとめてみたので、お手すきの際にでも読んでみてね。

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