こんばんは、いしかわです。
近所で見かけることがなくなり
「もしかして、終売……?」
と恐怖しておりましたが、無事にアンテナショップで見かけました。
『千代緑 純米大吟醸 MS3』
実はこの1本、酒屋さんからの評判がいいんです。
ちょっと詳しくみていきましょう。
『千代緑 純米大吟醸 MS3』ってこんなお酒
『千代緑』は、大仙市にある奥田酒造さんがつくるブランドです。
名前の後ろにつくアルファベットは『酵母』の略称で、ラインナップには『MS3』『SP』『R‐5』『No.12』などがあります。
そのなかでも今回紹介する『MS3』は、かなり特殊。
蔵付き酵母なんです。
蔵付き酵母とは、蔵の梁(はり)や神棚などから採取できる酵母のことで、それには圧倒的な個性があります。
なにせ歴史が、なにせ環境が、なにせ空気がくれたものです。
蔵ごとの酵母があり、蔵ごとの味わいを生んでくれます。
とはいえ、いまの主流は協会系酵母。
蔵付き酵母を使わないという蔵も少なくはありません。
くらべれば、『主流』こそが『主流』。こと『品質』という点でいえば、品評会やコンテストなどの結果がそれを物語ります。
ですが、そんななかでキラリと輝くのが、この『MS3』なんです。
なにせ『MS3』は、酒屋さんからの評判がしこたま良い。
数多くのお酒を試飲されてきたであろう方々が言います。
「蔵付酵母のなかでもっとも優れている」
「温度帯で香りの色が変わる多才な酵母」
「爽やか好青年」
蔵付酵母のなかにはちょっと独特なものもあり、必ずしも万人受けするとは限りません。
そんななかで、この賛辞の数々。
しかも酒のプロによる感想です。
先人たちから受け継いできたものが、令和になっても評価され続けている。
すごいことですよね。
さて、そんな『千代緑 純米大吟醸 MS3』ですが、特筆すべきは酵母だけではありません。
酵母がオンリーワンならば、酒米はナンバーワン&ツー。
なんと『山田錦』と『美山錦』が使われているんです。
この贅沢さ、この個性。
合わさってどう感じたのか。
感想に移りましょう。
『千代緑 純米大吟醸 MS3』を飲んでみて
この1本の味わいを一言であらわすのならこうなります。
“穏やかなうまみに包み込まれる”
しっとりと舌に沈んでくるうまみ。仄かなガス感。
甘辛度でいえばどちらでもなく、ほぼ中口でしょうか。
引き締めの苦みが嫌味なく活躍してあとを引きます。
包み込むようなうまみと同じくらい苦みも穏やかで、まったく突き刺しませんでした。
静かにおいしい。
穏やかにおいしい。
飲むタイミング次第では、数ある季節商品の陰に隠れて記憶には残らないかもしれません。
ですが、きっといつか。
ふとしたタイミングで出くわしたとき、「これおいしかったよなあ」と思い出すであろう1本です。
丁寧な通年商品。
心ある1本でした。
『千代緑 純米大吟醸 MS3』の商品情報
- 使用米:山田錦・美山錦
- 精米歩合:50%
- 日本酒度:+2
- 酸度:1.8
- 酵母:MS3(蔵付)
- アルコール分:16%
まとめ:蔵付き酵母の可能性……よりもまず、千代緑がうまい!
以前、どこかのインタビューで奥田社長が、「身の丈に合った酒造りをする」と仰っていたのを記憶しています。
秋田県一の小さな蔵で、身の丈に合った酒造り。
この『MS3』が、まさに、なのではないでしょうか。
慎ましくて穏やかで、どこか温かい。
お人柄がそのままお酒になったかのような、素敵な1本でした。
この1本を当たり前に飲める居酒屋さんがあるのなら、そのお店もまた温かくてホッとする場所なのでしょうね。
そう、思います。
ちなみに『MS3』という名前にはしっかりと由来があるのですが、それは内緒のお話。
又聞きしただけで私の口からお伝えできません。
ただ、温かい由来です。
ぜひ機会とご縁があれば、どこかで伺ってみてくださいね。
それでは今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ではでは。
※個人的に飲みやすくておいしかった日本酒でまとめているので、合わせて読んでみてね。