こんばんは、いしかわです。
秋田市内の酒蔵を語る上で忘れてはいけないのが『銀鱗』。『那波商店』です。
『みなと土崎』や『こまち美人』など、スーパーで見かけたことがあるのではないでしょうか。
いずれのお酒もデザインがややレトロで、「昔ながらの~」という印象を受けますよね。
ですが、ちょっと待ってください。
どこででもいいです。
あなたはどこかで、こんなお酒を見かけたことはありませんか?
『Kurukuru』
『竜乃涙』
『Kurukuru』シリーズは『シングルルッツ』『四回転サルコウ』『トリプルアクセル』など、アイススケートを思わせる名前がつけられています。
ラベルもちょっと独特。
くるくると竜巻を描いたようなデザインは、おもわず手に取ってしまう奇抜さがあります。
冬になると思い出す、「そのネーミングはズルいだろ~」なシリーズです。
では、『竜乃涙』はどうなんでしょう?
もしかしたら、名前を見たことはあっても、『那波商店』のお酒だと知らなかった人も多いのではないでしょうか。
ということで今回は、シリーズのスタンダード。『くろ』を飲んでみました。
ちょっとだけ詳しく見ていきましょう。
『竜乃涙 くろ』ってどんなお酒?
『竜の涙 くろ』の大きな特徴は3つあります。
- 使用米は『秋田酒こまち100%』
- 酵母は『AKITA雪国酵母(UT-2)』
- 日本酒度が醸造年度によって異なる
秋田酒こまちは秋田県の酒米としてもっとも有名で、『竜乃涙 くろ』には大潟村産のものが使われています。
酵母はちょっとおもしろくて、カッコの中に注目してみてください。
UT-2とありますよね。
最近、ひんぱんに見かけるようになったAKITA雪国酵母ですが、実は2種類あるんです。
UT-1とUT-2。
UT-1はリンゴのような香り。
UT-2はバナナのような香りと言われています。
ということは、『竜乃涙 くろ』からはバナナの香りが期待できそうですよね。
そして3つ目、日本酒度。
日本酒度は0を基準にして、プラスなほど辛口。マイナスなほど甘口になります。
これだけで味が決まるわけではないのですが、日本酒を選ぶ側には大切な数値ですよね。
ただ、この『竜乃涙 くろ』については数値を断言できません。
『-6』の年もあれば『-2』や『+4』の年もありました。
そのため、ちょっと味幅が広いです。
正直にいえば、もしあなたに『明確な好み』があるのでしたら避けるが無難かもしれません。
いちおう、2025年9月に飲んだものの感想を書いておきますね。
『竜乃涙 くろ』を飲んでみて
この1本の味わいを一言であらわすのならこうなります。
“酒こまちの甘みとしっかり渋み”
よく冷やしたものを頂いたのですが、香りは硬く、温度を上げていってもなかなか開きませんでした。
言われればバナナですが、ほんのり。ほんのりです。
香りを楽しむのであれば、より常温に近いものがいいかもしれません。
味わいは、秋田酒こまちの甘みと一緒に、しっかりと渋みがあります。
この渋みが強いっ。
メロンのような甘みと同じだけの渋みが並走してきます。
酸もしっかりあるのだとは思いますが渋みのほうが強く、それがキレとなっていました。
秋田酒こまちの甘みから中口かな、と思ったのですが、酸と渋みが言います。「ちゃうで」
飲めど飲めどわからず、ここでギブアップ。
酒質が落ちついて渋みが抜けた頃にでもまた飲んでみます。
少なくとも今は、渋い。これに尽きました。
ちなみに、2020年に飲んだ感想があるのでぜひ読み比べてみてください。
以下、2020年の感想です。
「甘さがやさしいんだ~」
バナナとは思いませんでしたが、穏やかながらも美しい香り。
甘さはフルーティーでやさしさを感じます。
裏ラベルには『さわやかなメロンのようなやさしい甘さ』とありますが、もっとやさしい。
『秋田酒こまち100%』と言われて納得の味わいです。
日本酒度-6という数値からは強い甘さを想像するかもしれませんが、けっして『甘すぎる』ということはありません。
程良い甘さをやわらかさ。
そして、ジワリと攻める酸味。
酸が締めるところを締めて、驚きの飲みやすさを生んでくれています。
名前の力強さとのギャップがおもしろい1本です。
普段づかいからちょっとした集まりまで、幅広い飲み方ができそうですね。
とのことでした。
なので、当時の記憶を頼りの飲んだこともあってギャップに驚いています。
ちょっと悲しかった。
それが正直な感想です。
『竜乃涙 くろ』の商品情報
- 使用米:秋田酒こまち100%
- 精米歩合:55%
- アルコール分:16度
- 酵母:AKITA雪国酵母UT-2
まとめ:秋田酒こまちの甘みからしっかりと酸、渋み
本当に申し訳ないのですが、この1本については『わからない』としか言えません。
もうね、ホントにわかりません。
ここまで感想が変化してしまうとは思ってもみませんでした。
日本酒は生き物なので、毎年おなじ味とはいきません。
それはわかっているのですが、誤差を越えてくると紹介が難しい。
紹介はできてもオススメができなくなります。
明日の味がわかりませんから。
この記事を来年のあなたが読んでいた場合、私は自信をもってオススメなどできません。
なので、この記事は今年限り。
来年もまた飲んで感想を更新していきますね。
それでは今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ではでは。
※個人的においしかった日本酒をまとめているので、お手すきの際にでも読んでみてね。