夏におすすめしたい秋田の日本酒10選。酷暑の夜に【4月~8月発売】

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こんばんは、いしかわです。

 

暑い日が続くとどうしても日本酒って遠ざかりがちですよね。

1杯目はビール。2杯目もビール。3杯目、4杯目も……なんて方、多いのではないでしょうか。

仕事終わりに炭酸で喉を鳴らす。最高ですよね。

でも、ちょっと待ってください。

ここだけの話……

 

秋田の地酒って、夏もうまいんですよ。

 

今回は10本。早すぎる夏酒からちょっと手遅れな夏酒までを集めました。

本当は21本ほど紹介したかったのですが、読み手にとって酷な長編になるので【厳選】という形で。

カッコいい言葉で濁させていただきますね。

 

それでは早速、いっちゃいましょう。

 

夏におすすめしたい秋田の日本酒10選

冬のお酒を『11月〜1月発売』。

春は『2月〜4月』でまとめております。

そのため、夏は『5月〜7月発売』で……

 

と行きたかったのですが、さすが夏酒。

魔物がおりました。

それが、1本目です。

 

刈穂 純米吟醸 六舟SummerMist(秋田清酒)

最速で秋田に夏を運ぶ1本目は、大仙市の『刈穂』から。

『刈穂 純米吟醸 六舟SummerMist』です。

 

発売時期はなんと、4月下旬。

調子が良ければ、秋田市では桜の散り始め。井川町のしだれ桜に至っては、まだ咲いてすらいません。

完全にフライング。

夏を待てないわんぱくな1本です。 

 

大きな特徴は、やはり安定感でしょうか。

毎年、『美山錦』と『ぎんさん』で、やや辛口の味わいを提供してくれます。

槽しぼりから即詰めすることで残した『薄いにごり』は、まさに『Mist』。霧ではなく『かすみ』と訳したい、最速の夏酒です。

 

その味わいは、にごりあるのに驚きの透明感。

まろやかな辛さが楽しめます。

カーッとくる辛さではないので、辛口と感じさせない飲みやすさがありますよ。

通年品の『六舟』と飲み比べてみるとより口当たりの違いが楽しめるので、ぜひお試しください。

 

大納川天花 純米吟醸 夏酒 金魚ラベル(大納川)

夏を待てないわんぱくな2本目は、同じく4月下旬頃の発売。

『大納川天花 純米吟醸 夏酒 金魚ラベル』です。

 

秋田酒こまち×蔵付き酵母D-29という組み合わせは、同社の『ハートラベル』と同じ。

ですが、白麹を使うことで『ハートラベル』にはない、さっぱりとした酸が楽しめます。

 

その味わいは、グレフル感マシマシ。

甘酸っぱい味わいには違いないのですが、ハートラベルよりも“より酸味にスポットライトが当たります”。

ほんのり苦みも伴うので、グレープフルーツのようなフルーティーさが広がりますよ。

 

よく冷やすことで得られるサッパリ感は、まさに夏酒です。

少し常温に戻すとうまみが長く感じられるようになるので、そちらとぜひお試しください。

 

この1本が、季節の変わり目ですよ。

 

やまとしずく 純米酒 夏のヤマト(秋田清酒)

3本目は、5月中旬〜下旬発売。

『やまとしずく 純米酒 夏のヤマト』です。

 

ちょっと写真を見てください。

透明なボトルに水色のロゴ、文字。このシャープで完成された感じ、どう見ても純米吟醸の雰囲気ですよね。

 

純米酒なんです、この1本。

 

しかも、しぼって即詰め即火入れ。

『美山錦』×『AK-1酵母』の良さがギュギュッとビン詰めされています。

 

その味わいは、仄かなガスに純米酒らしいうまみ。

ガスに押し上げられた香りが鮮やかで、鼻からもおいしいが溢れます。

爽やかながらもうまみと酸が豊かで、涼やかに引き締まる1本ですよ。

火入れとはいえ、ぜひキンキンでお楽しみください。

 

ちなみに、『夏のヤマト』で検索すると、関連検索ワードに『ヤマト運輸 夏のボーナス』と出てくるのでお気をつけください。

 

まんさくの花 かち割りまんさく 吟醸原酒(日の丸醸造)

4本目は、いよいよ夏本番。このデザインで冬はない。

『まんさくの花 かち割りまんさく 吟醸原酒』。

発売時期は、5月下旬頃です。

 

『美山錦』と『ぎんさん』を使うことで高いコスパを実現していますが、大きなポイントは別にあります。

なんとこの1本、アルコールが18度もあるんです。

そのため蔵元推奨の飲み方は、

 

“オン・ザ・ロック”

 

そのままだと酸が甘くて濃いのですが、ほんの少しの加水で驚きの飲みやすさに変わります。

個人的には、舌が酒質よりも冷たさに反応するくらい。

加水+加冷で酸味が折れます。

お米の甘みとうまみを感じつつもスルスルッと飲めちゃうのでオススメですよ。

 

ラベルで感じる夏を。

飲み方で感じる夏を。

 

ぜひぜひお楽しみくださいませ。

 

鳥海山 純米吟醸 爽快辛口(天寿酒造)

5本目は、実は低アル、実は大辛口な1本。

『鳥海山 純米吟醸 爽快辛口』です。

 

秋田酒こまち×きょうかい901号という、一見するとありがちな組み合わせのなかに、個性がギュッと詰まっています。

というのも、なんとこの1本……

 

日本酒度+10。

 

+6より上が大辛口とされるなかで、更に上をいく1本なんです。

とはいえ、行きすぎた辛口となればもはや好みの世界。あなたも「これはちょっといいかな……」なんて思ってはいませんか?

 

この1本、香りに甘みがあります。

そして、味わいのなかに香りの甘みが生きています。

堅実な辛さのなかに、秋田酒こまちらしい酸と甘みが感じられるんです。

しかも、アルコール14度なので軽いっ。

 

『爽快辛口』

 

まさに、でした。

 

書き手にナゾの熱が入って伝え忘れていましたが、発売は5月下旬頃です。

多少の前後はあるかと思いますので、参考までにどうぞ。

 

天の戸 純米吟醸 ランドオブウォーター生(浅舞酒造)

例年は5月発売ですが、これを書いている5月下旬にまだ見かけていない6本目。夏の天の戸。

『天の戸 純米吟醸 ランドオブウォーター生』です。

 

『美山錦』×『10号酵母』の1本は、蔵内に湧く『琵琶沼寒泉』をイメージしてつくられています。

 

と、さらっと書きましたが、『10号酵母』ってあまり馴染みがないですよね。

特に秋田県は6号酵母がありますし、近年では『AK-1』や『AKITA雪国酵母』も生まれました。

なので、「『10号酵母』ってなんぞ?」という方も多いのではないでしょうか。

実は、私がそうです。

 

というわけで調べてみると、『10号酵母』は酸が少なく吟醸酒向けとのこと。

“引っかかりの少ない湧き水のような涼味”はそこから来ているのだな、と納得させられました。

 

すっきり爽やかな口当たりから、さらさらのうまみ。じわっと来る甘酸っぱさ。

フルーティーではなく、華やかでもないのに夏を思わせる1本です。

合わせる食事を選ばないので、食中酒にもオススメですよ。

 

春霞 純米吟醸 わき水ラベル(栗林酒造店)

7本目は、涼しげなのにどこか温かい。蔵の雰囲気がそのままビン詰めされたような1本。

『春霞 純米吟醸 わき水ラベル』です。

発売時期は、6月頃になります。

 

この1本の大きな特徴は、『春霞らしさ』です。

 

栗林酒造店がもっとも力を入れている『美郷錦』に、オンリーワンの蔵付き『亀山酵母』。

仕込み水には、蔵隣接の『栗林(りつりん)の湧き水』がつかわれています。

いうなれば、すべてが春霞というブランドを形作ってきた素材です。

 

さて、そんな1本。

日本酒度はこの5年間で-6〜-12と、大甘口に寄っています。

 

ほっぺたの落ちるきれいな甘みに、芯のある酸味がいいアクセント。

マスカットのような華やかさもあれば、苺のようなジューシーさも感じられます。

5月発売の『田んぼラベル』が同じ素材でありながらもドライに仕上がっているので、まさに『対』を成す1本と言えそうですね。

 

低アルコールとまではいきませんが、アルコール感少なく楽しめる1本です。

『これから日本酒を始めてみたい方』や『甘口を好まれる方』にオススメですよ。

 

ぜひ、『田んぼラベル』とも飲み比べてみてくださいね。

 

出羽鶴 純米吟醸生酒 クラムボン(秋田清酒)

けっきょく何者なのか。謎の存在が、秋田の夏酒8本目。

『出羽鶴 純米吟醸生酒 クラムボン』です。

発売時期は、6月下旬頃になります。

 

『クラムボン』とは、宮沢賢治の童話『やまなし』に登場するキャラクターで、その正体は今でも謎のまま。

トビケラの幼虫説や蟹の泡説などさまざまな考察がありますが、『わからない』がいちばん美しい答えなのではないかと個人的には思います。

 

『かぷかぷ笑う謎の存在』ですね。

 

そんなクラムボンですが、原料米には『陸羽132号』がつかわれています。

このお米は宮沢賢治にゆかりのある飯米として知られ、

 

氏が農家に栽培をすすめたり、

氏の著書『稲作挿話』に登場したりと、

 

切っても切り離せない関連性のあります。

 

と、ここまではただのうんちくです。

大事なのは味ですよね。うまいのか、オススメなのか。ハッキリさせましょう。

 

もちろん、オススメです。

 

マイルドでフルーティーな香りに、キメ細やかなガス。

うすにごりのうまみが泡をもって口当たりになります。

甘口ながらも酸がしっかりしていて、ガス感とあわせて夏酒らしい1本でした。

 

おなじ時期に出ている出羽鶴の『MARLIN』が“やや辛口で魚料理向け”だとすると、クラムボンは“やや甘口の肉料理向け”でしょうか。

脂との相性が良さそうなので、ぜひ試してみてくださいね。

ちなみに『クラムボン』……

 

特約店限定品ではございません。

 

探しやすい、見つけやすい1本なので、ぜひお飲み逃しなくどうぞ。

 

飛囀 鵠 漆黒(飛良泉本舗)

さて9本目。お目にかかれるかは運次第なこの1本。

『飛囀 鵠 漆黒』です。

発売時期は、不明でございます。(2024年は6月発売)

 

たぶん今、あなたはこう思いましたよね。

 

「なんで運次第なの? それに不明ってどういうこと?」

 

これね、理由があるんですよ……

 

というのもこの『漆黒』……

『鵠(はくちょう)』のなかでも、酸度5.0を超えたものだけに許された名称なんです。

そのため、超えねば発売はありません。

超えねば秋田に黒鳥は訪れないんです。

 

『秋田酒こまち×No.77酵母(リンゴ酸)』の組み合わせは、飛良泉では珍しくありません。

ですが、そこに『山廃(乳酸)』と『白麹(クエン酸)』が加われば怪物が生まれます。

 

酸度5.2。

 

トリプルアシッドが生んだ酸の化け物です。

この数値の前では日本酒度-16が霞みます。とんでもない大甘口のはずなのに、「それよりも〜」と酸に目が向くことでしょう。

 

その味わいはというと、「すごい」の一言です。

大甘口なのは口当たりでわかるのですが、酸がそれを置きざりにしていきます。

一瞬だけ甘く、酸、酸、酸。

『入り』と『抜き』の部分にだけ秋田酒こまちらしさを感じましたが、あいだの味わいが『酸』なんです。

 

この1本に沼ってしまえば、他だと物足りなく感じるかもしれません。

 

今年の発売は神のみぞ知る1本。

見かけたらぜひ試してみてくださいね。

 

山本 純米吟醸 フォレストグリーン(山本酒造店)

大トリを飾るのは、新緑の山本。

『山本 純米吟醸 フォレストグリーン』です。

発売時期は、8月頃になります。

 

実はこの1本、『美郷錦』が使われています。

今さらそれをドヤ顔で言われても……と思うかもしれませんが、こちらの『美郷錦』はちょっと特別なんです。

 

栽培されているのは、篤農家の山崎直司さん。

氏の作る『美郷錦』は全国的に評価が高まってきていて、秋田を越えて使われているのだそうです。

美郷錦=秋田県。

そんなイメージが今、少しずつ変わってきているのかもしれませんね。

 

良い物は放っておかれない。

かならず誰かの目に止まり、羽ばたくのだ。

今回紹介している10本が、あなたの目に止まってくれたように。

 

と締めくくるのはまだ早いです。

ちょっとだけ味わいに触れておきましょう。

 

まずこのフォレストグリーン、香りがうんまいです。

吸い込まずとも勝手に香る、甘めのりんご。

口当たりのガス感が弱いので、するするっと入ってきては“すぅっ”と舌に馴染みます。

 

ただ、香りの甘みに対して、味わいはやや辛口です。

華やかながらも広がりすぎず、さっぱりとした余韻を残して消えていきました。

この涼やかな酒質は、まさに夏酒。

真夏にすべりこんできた、よく冷やして飲みたい1本ですよ。

 

お盆明けといえば市場に『ひやおろし』が出始める頃ですが、季節はまだ夏。ガッツリ夏です。

『ひやおろし』を見て

 

「まだだな……(汗)」

 

と感じたら、ぜひ手に取ってみてくださいね。

 

まとめ:『飲みやすい』『すっきり』だけじゃない。個性あふれる秋田の夏酒で、酔い夜を。

駆け足で10本紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

気になる1本は見つかりましたか?

正直にいえば、抜けている酒、選ばずに抜いた酒もあります。

 

「これって夏酒?」

「たまたまこの時期に出ただけ?」

「一昨年と去年で発売時期がちがう」

 

そういったお酒は選びませんでした。

手を抜いたと言われればそれまでなのですが、あとはあなたの目に委ねます。

ここで気になったお酒を買いに行けば、その隣には別の夏酒があるはずです。

 

どちらを選ぶかは、あなたの感覚で。

あなたの気持ちを大切にしてくださいね。

 

それでは今回はこのへんで。

長い文章を読んで疲れたかと思います。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。

 

また何か探し物があればいらしてくださいね。

ではでは。

 

※季節問わず秋田の日本酒でまとめているので、お手すきの際にでも読んでみてね

 

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