こんばんは、いしかわです。
私のスマホでは『もえいね』で予測変換に表示にされますが、PCでタイピングすると一発変換できない1本。
『萌稲(もね)』
CMも入って久しいですし、県民の認知度も高まってきたのではないでしょうか。
少なくとも、若い世代にとっては爛漫=萌稲。
黄色の紙パックを連想するのはもうおじさん世代なのかもしれません。
私はもちろん黄色の紙パックを連想しますよ。当たりが出たらもう1本です。あのシールを売場でめくってく迷惑客がいて、むかし苦労した思い出があります。
ですがたぶん、ホントに苦労したのは爛漫の営業さん。ラウンダーさんではないでしょうか。
本当にその節はお世話になりました。
それでは今回はこのへんで。
ここまで読んでいただき……ん?
おっと、『萌稲』シリーズに『純米吟醸』が名を連ねましたね。
ちょっと詳しく見ていきましょう。
『萌稲 純米吟醸 百田・一穂積』ってどんなお酒?
田んぼから作るという『テロワール』にとことんこだわった爛漫の看板商品『萌稲(もね)』。
その限定流通品として秋頃に発売されるのが、この『純米吟醸』です。
ただこの発売時期……確実ではありません。
『2024年は9月下旬に発売された』というだけで、『毎年この時期!』と言い切る根拠がないんです。
なので、もし発売されなかった場合は訂正させていただきます。申し訳ありません。
改めてこの『純米吟醸』、根底にあるのは『テロワール』となります。
『テロワール』とはワインに使われる用語で、『風土』や『自然環境』を意味します。
フランスワインには産地の名前がつけられることが多く、これは『産地の風土や環境が味の個性をつくる』という考え方から来ているのだそう。
近年では日本酒でも『テロワール』を意識した蔵が増えてきていて、『萌稲』はまさに。
『秋田県産』よりもさらに幅狭く、『湯沢市産』と呼べるシリーズとなっています。
ちなみに、全国展開している『純米酒』と今回の『純米吟醸』は、精米歩合こそ違えど『酒米』と『酵母』は組み合わせを変えていません。
『百田』は『こまち酵母SP』と。
『一穂積』には『AKITA雪国酵母UT-1』がつかわれています。
しかし精米歩合は、70%と55%。大きな差があるので、飲み比べる楽しみも大きいシリーズと言えそうです。
さて、そんな『オール湯沢』な2本ですが、まずは『百田』から飲んでいきましょう。
『萌稲 純米吟醸 百田』を飲んでみて
この1本の味わいを一言であらわすのならこうなります。
“山田錦には劣るからいい”
もうね、終始飲みやすいです。
舌に乗せた瞬間から静かな華やかさを感じ、それがずっと続きます。
みずみずしさ半分、うまみ半分。
2024年のものは日本酒度が±0なのですが、甘みは数値ほど感じませんでした。
代わりに感じたのは、濃さのないうまみです。
この派手さのない静かなうまみが、すごくいい。
引き合いに出して申し訳ないですが『山田錦』ではこうはいかなかったと思います。
なにせ『山田錦』は、うまみが濃いです。派手さがあって、どうしても『山田錦』でつくった日本酒になってしまいます。
品評会用のお酒に『山田錦』が使われてきたように、やはりカリスマ性は隠せないんです。
でも『百田』なら。
『百田』なら隠せます。
うまみを静かに、ふわりふわりと消していけます。
この終始感じる飲みやすさは、むしろ武器なのだと感じました。
『萌稲 純米吟醸 一穂積』を飲んでみて
この1本の味わいを一言であらわすのならこうなります。
“やだっ、物足りないと思って飲んでたら満足してたわ”
この『一穂積』、酸が控えめに香ります。申し訳なさそうに香ります。
口にふくめば、水のやわらかさ。やや物足りない。
ですが、そこから甘酸っぱさが少しずつ開いていきます。
この『少しずつ』が、なんかいいんです。
静かな甘酸っぱさが上がっていき、ピークが見当たらないまま緩やかに下っていく。
そんな緩さが不思議とおいしくて、最後まで印象的なんです。
『一穂積』の弱さ、やさしさが集約しているとでも言えばいいでしょうか。
「これはこれでいいんだ」
となぜか熱弁したくなる、最終的には大満足していた1本でした。
『萌稲 純米吟醸 百田・一穂積』の商品情報
〇百田
- 使用米:自社田産『百田』100%
- 精米歩合:55%
- 酵母:こまち酵母SP
- アルコール度:15度
- 日本酒度、酸度:年度によって異なる
〇一穂積
- 使用米:自社田産『一穂積』100%
- 精米歩合:55%
- 酵母:AKITA雪国酵母UT-1
- アルコール度:15度
- 日本酒度、酸度:年度によって異なる
まとめ:日本酒にテロワールの波。個性は風土から来たる。
大きな声では言えませんが私、『萌稲』の『純米酒』があまり好きではありませんでした。
というのも、感想が出てこなかった。
感想が浮かばなかったからPOPが書けなかったんです。
それくらい難しくて、はじめてPOPを書くのを諦めました。
なので、ある意味思い出深いシリーズです。
そんな『萌稲』から発売された『純米吟醸』。
また頭を抱えたらどうしようか、という恐怖もあったのですが、そんなものは飲んだら吹き飛びました。
特に『一穂積』です。
この『純米吟醸 一穂積』には、『一穂積』の生き方が詰まっていたように感じます。
これでいいのだ。
これがいいのだ。
そう言っているかのようでした。
そして12月。
爛漫からとある1本が発売されます。
『爛漫 純米吟醸 一穂積 生酒』
たぶんこの1本が、爛漫がつくる『一穂積』の集大成なのではないでしょうか。
『萌稲』の『火入れ』からはじまり、12月の『生酒』へ。
ぜひ、両方を追いかけてみてくださいね。
それでは今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ではでは。
※ちなみに『生酒』、こんな風貌です。