『刈穂 純米吟醸 秋kawasemi』の感想・レビュー:ぜひ、冷やしすぎずに

刈穂・出羽鶴(秋田清酒)
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こんばんは、いしかわです。

 

秋めく頃に「ひやおろし」を名乗らずに飛来する1本。

『秋kawasemi』

春の明るい色調、通年品の鮮やかな緑ときて、秋はやはりおだやかに。季節感たっぷりの装いですね。

 

刈穂といえば中硬水をつかったスッキリ感がありますが、それは「秋酒」になることでどうなったのか。

ちょっと詳しく見ていきましょう。

 

『刈穂 純米吟醸 秋kawasemi』ってどんなお酒?

『kawasemi』は、秋田酒こまちを50%まで磨いた『純米大吟醸クラス』のシリーズです。

ラインナップは3つ。

生酒の『春kawasemi』にはじまり、通年の『kawasemi』、秋酒の『秋kawasemi』と続きます。

今回紹介していく『秋kawasemi』は、9月中旬発売の1本。

春夏を低温で越えた、正統派のひやおろしです。

 

おなじく刈穂の『山廃純米 ひやおろし』には『2回火入れ』の記載があるのですが、こちらはありません。

通年品が『1回火入れ』なので、おそらくはそのまま。

貯蔵する前に1度だけ火入れをする『生詰め』で季節を越した1本なのだと思います。

 

そしてこの『kawasemi』シリーズ……

情報は少ないのですが、物語があるんです。

それは水のおいしい土地だからこそのお話です。

 

実は、刈穂蔵裏手の水辺にはカワセミが棲むのですが、春になると越冬を終えたカワセミが戻ってきて巣をつくります。

やがて雛が生まれ、育ち、夏には巣立つのだそうです。

秋に見られるのは雛たちの成長した姿。

ひとつの命が丁寧に育まれていく様が、1年とおして水辺に映ります。

水の良い土地にしか棲まないとされるカワセミが離れてもまた戻ってくる。

刈穂の仕込み水がいかに優れているのかも伝わりますし、ラベルから感じ取れる物語もまたkawasemiシリーズの良さと言えそうですね。

 

さて、そんな『秋kawasemi』ですが、使用酵母がわかりません。

サイトによっては『秋田流花酵母(AK-1)』だったり『秋田雪国酵母UT-1』だったりとマチマチ。

酵母がわかればおおよその香りもわかるのですが、それはあくまでも知識のお話です。

バナナ、パイナップル、メロン、リンゴ。

さまざまありますが、感じないときだってありますよね。

 

「え~、そうかなあ?」

 

なんてことはザラです。

というわけで、曖昧な情報は忘れて飲んじゃいましょう。

 

『刈穂 純米吟醸 秋kawasemi』を飲んでみて

この1本の味わいを一言であらわすのならこうなります。

 

“しっかり味が色づいてる”

 

香りはおだやかで、冷やしすぎると感じないほど。

味わいはしっかりと味が乗っています。

ただ、この味の乗り方が不思議で。

秋田酒こまちの上品さを感じながらも、『秋の精』のような重みもあるんです。

よく冷やして飲むと苦みとコクが壁になっていて、なおさら『秋の精』を思わせました。

 

ところがどっこい。

どっこいですよ。

 

温度が上がってきた頃……

カッコつけた言い回しをしていますが、出しっぱなしで放置していただけです。

温度が上がってくると、感想がガラリと変わります。

 

『壁』が消えるんです。

 

スッキリ感と熟成感のバランスが整ってきて、グッと『ひやおろし』らしくなってきます。

壁になっていたコクが残らないので、飲みやすくも『旨い』です。

個人的には断然、常温寄り。

涼しくなってきたからこその『常温』が、いちばんおいしいと感じました。

 

『刈穂 純米吟醸 秋kawasemi』の商品情報

  • 使用米:秋田酒こまち
  • 精米歩合:50%
  • アルコール分:16%
  • 日本酒度:+3(2025年)
  • 酸度:1.6(2025年)
  • 発売時期:9月中旬

 

まとめ:春は生酒、通年は1回火入れ、秋はひやおろし。カワセミの四季が美しい

刈穂といえば『六舟』が有名で、やはりそちらを最初に挙げる方も多いのではないでしょうか。

私もそうで、『秋田の日本酒で100枚POPを書く』というチャレンジをした際は1枚目に『六舟』をもってきたほどです。

それほどまでに、『六舟』は日常。

秋田の日本酒コーナーを覗けば、『ない』ことが『ない』。

そんなブランドです。

 

だからこそ、『kawasemi』に至るまでが長かった。

はじめて飲んだのは3年前。

日本酒を飲みはじめて15年は経とうかというのに、ごく最近なんです。

 

避けていたわけではないのに、なんとなく飲んでいなかった。

目には入っていたけども、手には取らなかった。

私にとって『kawasemi』は、そんなお酒でした。

 

ですが考えてみれば、『秋田酒こまち100%』で『生酒』『1回火入れ』『ひやおろし』が楽しめるんです。

おなじ酒米、おなじスペックで、味わいの移り変わりが感じられる。

これ、素敵じゃないですか?

どうしてもっと前にこの考え方に至れなかったのか。

ただただ反省するばかりです。

 

「ああ、確かに」

 

と思ってくれたあなたも、ぜひ『kawasemi』で季節を楽しんでくださいね。

秋から始めたっていいのですから。

 

それでは今回はこのへんで。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

ではでは。

 

※おすすめの秋酒でまとめてみたので、合わせて読んでみてね。

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