こんばんは、いしかわです。
『福小町』の蔵として有名な湯沢市の木村酒造ですが、忘れてはいけないのが特約店限定ブランド。
『角右衛門』
なかでも人気なのが、ピンクラベルの通称『ピンカク』と、1月発売の水色ラベル。『無圧上槽 中汲み』です。
荒々しくにぎやかな味わいのピンカクを『動』の角右衛門とするならば、無圧は『静』をゆきます。
ちょっと詳しく見ていきましょう。
『角右衛門 無圧上槽 中汲み』ってこんなお酒
なんというか、専門用語が並んでますよね。
『無圧上槽』
既存の四字熟語のように感じますが、日本酒用語の『無圧』と『上槽』を合わせたものになります。
『上槽』のほうは、こう言い換えるとわかりやすいのではないでしょうか。
『しぼり』
もろみを酒粕と酒に分ける作業で、よく『アコーディオンのような機械』を使って行われます。
これは『ヤブタ式』と呼ばれ、“横に圧をかけてしぼる方法”です。
対して『無圧』の場合。
『圧』を『かけず』にしぼるにはどうすればいいのか。
答えは“自重です”。
『無圧』の場合は、目の粗い酒袋にもろみをいれて、何袋も重ねて置きます。
そうして、酒袋の重みでしぼるんです。
じっくりと、ゆっくりと。縦の圧で。
こうすることで、時間と手間はかかりますが、もろみにストレスをかけずにしぼることができます。
とはいえ、ストレスをかけないからどうなるの?って話ですよね。
実はこれ、口当たりに大きく影響してくるんです。
酒質と言えばいいでしょうか。
やさしい圧でゆっくりしぼるので、雑味がなくて透明感が増します。
舌触りの良さが明らかにちがってくるので、ヤブタ式のお酒と飲み比べるのもおもしろいですよ。
そして、もうひとつの専門用語。
『中汲み』です。
こちらはしぼって出てきたタイミングを指します。
もろみをしぼって最初に出てきた部分わ『荒走り』と呼び、終わり間際が『責め』。
そして、中間が『中汲み』です。
『中汲み』は、酒袋の目が詰まって、液体しか通れなくなった頃に出てくる部分を言います。
液体しか通れないので、色は透明。
もっとも酒質の良い部分とされていて、味わいにはわかりやすく華やかさがあります。
なのでこの『無圧上槽 中汲み』は、そのネーミングから
“華やかで雑味なく、透明感のある味わい”
が期待できます。
なんて、いちいち難しく書いてないで感想にいっちゃいましょう。
硬い硬い。自分で書いてて硬いったらないです。
『角右衛門 無圧上槽 中汲み』を飲んでみて
この1本、一言であらわすのならこうなります。
“冬の空気がよく似合う”
どういうことかというと、キンキンがよく似合うんです。
冷たさとやわらかさのバランスが抜群。
口当たりはやわらかく甘く、舌にはしっとりとしたうまみが乗ります。
このしっとり感がもうね、たまりません。
なんでしょうね。しっとりしてるのに重みがないんです。
おいしい。
そして、さすがは1801酵母!
嗅がずとも鼻を近づけるだけで、青リンゴのような若々しい香りがくすぐってきます。
この香りの良さもまた、ファンが多い理由のひとつなのではないでしょうか。
とはいえ、これを忘れてはいけません。アルコール度。
16.5度あります。
これが意外と曲者で。余韻にはやっぱりアルコール感が残ります。ほわほわーっとアルコールが香るんです。
なので、今の主流である15度以下を好む人にとっては、後味が強く感じるかもしれません。
逆に、飲み慣れている人にはちょっと強めに推させてください。
“アルコール感とともに残る霧状の甘みが良いんです、ぜひ”
『角右衛門 無圧上槽 中汲み』の商品情報
- 使用米:秋田県産『美山錦』100%
- 使用酵母:協会1801酵母
- アルコール分:16.5度
- 精米歩合:55%
- 日本酒度:+3
- 酸度:1.3
- 参考価格720ml:1,815円
まとめ:待ち人多い理由もうなずける、手間隙かけた1本
実は私、6年前にも一度飲んでいて、そのときはあまり好みではありませんでした。
というのも当時は、まだ好みが辛口寄り。
甘みがあまり得意ではなかったんです。
『無圧』の口当たりはともかく、『中汲み』のなめらかな甘みが苦手でした。
ですが、6年。
あれから月日が経ち、私も年を取りました。
好みの幅も広くなり、甘いもうまい。辛いもうまい。
何を飲んでも「これはこれでおいしい」と感じられるようになりました。
そんな私ですが、言わせてください。
「これ、おいしい」
それでは、今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ではでは!
※まだ間に合います! 冬の日本酒、楽しみませんか?