春におすすめしたい秋田の日本酒10選。まだ肌寒い夜に【2月〜4月発売】

まとめ記事
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こんばんは、いしかわです。

 

日本酒の四季って早いですよね。

4月末には夏酒が出ますし、お盆明けには冷やおろしが登場します。

このスピード感は、ほぼアパレル。

春酒も2月には登場し始めますので、ちょっと早いけど2月からいきましょう。

 

今回も10本の紹介です。

退屈な導入はほどほどにして、早速いきます。

れっつごー。

 

春に飲みたい秋田の日本酒10選

醸造年度によってスペックが異なる場合があるので、日本酒度などの表記は極力しません。

ですが、そこに個性がある場合はビシィッ!!と書きますので、参考にしてみてくださいね。

 

刈穂 純米吟醸 生 春カワセミ(秋田清酒)

1本目は、「やっぱりここか」な安心感。

『刈穂 純米吟醸生 春カワセミ』です。

発売時期は、2月中旬頃。

リサーチ不足でなければ、秋田に最速で春を告げる1本です。

 

『カワセミラベル』自体は通年発売の純米吟醸ですが、今作はその生酒バージョンになります。

新酒をしぼって即ビン詰めしているため、オリが薄く残っているのが特徴です。

 

うすにごりとなれば冬酒にも多く見られますが、不思議なもので。

桜色と合わされば、『濁り』は『かすみ』。

2月でも春の息吹が感じられます。

 

その味わいは、清涼感のある見た目からアルコール16度のボリューム感。

ゆるい山なりの甘みを、刈穂らしい硬さでスッキリと飲ませます。

生酒らしい苦みも若く爽やかで、季節感がお見事でした。

 

この『春カワセミ』の先に春があります。

冬の名残りを残した、うすにごりの生酒。

『爽やかさ』と『飲みごたえ』の両立した1本を、ぜひどうぞ。

 

春霞 純米酒 花ラベル(栗林酒造店)

2本目もまた、これぞ春の入口。季節の変わり目。

『春霞 純米酒 花ラベル』です。

発売時期は、2月中になります。

 

『美郷錦』×『亀山酵母(蔵付き)』の組み合わせは、5月発売の『田んぼラベル』や6月発売の『わき水ラベル』と同じです。

『田んぼ』が辛口、『わき水』が甘口なので、この『花ラベル』はほぼ中口。

きれいな差別化ができていて、同じ組み合わせのなかにも味幅があるシリーズとなっています。

 

そんな『花ラベル』の味わいはというと、

 

“辛すぎず甘すぎず、うまい酒”

 

1回火入れの生詰め酒なので、生酒に近いフレッシュな口当たりが感じられます。

ガス感も残っており、うまみのなかには上がる味わいが。

日本酒度で見ればほぼ中口なのですが、飲めば『やや甘』がおいしい1本です。

 

『美郷錦』の甘みのすばらしさを引き出しつつも、食中酒として扱いやすい。

そんな、いいとこ取りな『純米酒』ですよ。

 

山本 うきうき 純米吟醸生酒(山本酒造店)

この文字みたら春到来。

3本目は、秋田の北方。八峰町から。

『山本 うきうき 純米吟醸生酒』です。

発売時期は、2月になります。

 

知る人からすれば「今年もきたきた!」な純米吟醸なのですが、実はこの1本……

『うきうき』に意味はありません(笑)

蔵元が春をイメージして思い浮かべた単語が、たまたま『うきうき』だったそうです。

その『たまたま』に『わくわく』させられるのですから、『うきうき』って素敵な言葉ですよね。

 

その酒質は、冬酒にはないさらさら感。

アルコール度も14度台に抑えられていて、さっぱりとした口当たりが楽しめます。

 

「若干薄味かな?」

 

という印象も受けますが、そこは酒の変わり目。

冬酒から春酒へ。

こってりとした冬酒の終わりを告げているのかな、と感じました。

 

原料米には『吟の精』が。

酵母には『R-5』と『AK-1』を使用した、オール秋田な1本です。

 

清々しい味わいで、少し早い春の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。

 

FOURSEASONS 春 うすにごり(飛良泉本舗)

4本目は、いまだ進化を止めない古豪の春酒。

『FOURSEASONS 春 うすにごり』です。

発売時期は、3月になります。

 

『四季』の名のとおり、FOURSEASONSシリーズは全4種。

春をいろどる『うすにごり』には、美山錦と秋田酒こまちが使われています。

そして、大きなポイントはこれでしょうか。

 

“協会701号酵母の使用”。

 

蔵付きの『はま矢酵母』でも酸の多く出る『No.77』でもありません。

いまもっとも多くの蔵で使われている『7号酵母』を使うことで、『飛良泉らしさ』と『万人受け』が両取りされています。

 

実際に飲んでみると、しっとりした口当たりから若いメロンのような香味。

酸味がさっぱりとしているので、後味がややドライに感じられます。

『うすにごり』ながらもアルコールが14度と低く、重みがないのも春酒らしさですね。

 

余韻が水のようにほどけるので、目立つのはやっぱり“軽快さ”でした。

春酒という意識が強く感じられる1本ですよ。

 

1回火入れのお酒ですが、おすすめはよく冷やして。

そこから温度による味幅を楽しんでみてくださいね。

 

角右衛門 特別純米生 超速即詰(木村酒造)

「おまえを待ってたんだよ!」というファンも多いのではないでしょうか。

5本目は『福小町』の木村酒造から。

『角右衛門 特別純米生 超速即詰』です。

 

『ピンカク』の愛称で親しまれているこの1本は、角右衛門のなかでも人気で1、2を争います。

大きなポイントは、名が表す体。

 

“超速即詰”

 

しぼって即詰めした生酒……なのですが、個人的にはこれをポイントにしたいです。

 

“アルコール17度”

 

重い味わいの冬を終えて「さあ、春だ!」という頃に、高アルコールで世に出ます。

しかもそれが、1、2を争う人気なんです。

 

「いったいどういうこと??」

 

その答えは、やはり味にありました。

 

もうね、口当たりがにぎやか。

若々しさをいろどる味わいのパレードです。

55%精米ながらも口当たり透明感はなく、どこかグレーな色を感じます。

 

正直にいえば、やや大味。

ただ、それが不思議と良いんです。

青リンゴのような香味を、ガス、苦み、アルコール感で沸かすので、若々しさに動きがあります。

 

1月発売の『無圧』を『静』とすれば、『超速即詰』は『動』。

圧倒的に動きのある1本でした。

 

大きい声では言えませんが、「あなたの好みを抜きにして楽しんでくれたらな」と願っています。

なにせこの1本、うるさいので(笑)

 

やまとしずく 直詰生原酒 一穂積(秋田清酒)

手書きPOPには大げさに見えるコピーが書いてありますが、これ、本心です。ホントにおいしかった。

6本目は、3月発売の『やまとしずく』。

『やまとしずく 直詰生原酒 一穂積』です。

 

この1本は自社田栽培の『一穂積』を使い、『秋田流生酛仕込み』でじっくりと醸されています。

 

一穂積は、新潟県の『越淡麗』と『秋田酒こまち』を両親にもつ新品種で、『百田』とともに登場しました。

その味わいは、両者のいいとこ取り。

すっきりかつ上品な味わいで、個人的には『弱い』印象がありました。

『百田』がポスト山田錦を狙った酒米であるため、比較すればどうしても……という印象だったんです。

 

が。

しかし。

But!

 

この『やまとしずく』は『強い』です。

こんなにくっきりとした味わいの『一穂積』は初めてです。

なだらかな弧を描くイメージのあった『一穂積』ですが、この1本はピークが早いっ。

ふんわりとした甘酸っぱさがピンと跳ねます。

 

11月発売の火入れver.が舌に沈む味わいならば、こちらは上がる味わい。

生酒でしか味わえないフレッシュさがたまりません。

 

酒場で見たら飲んでほしい。

酒屋で見たら買ってほしい。

そんな1本、ぜひどうぞ。

 

大納川天花 純米吟醸 無濾過生原酒 ななつぼし(大納川)

春に限らず、どのタイミングで発売してもオススメしたい7本目は『大納川』から。

『大納川天花 純米吟醸 無濾過生原酒 ななつぼし』。

発売時期は、3月です。

 

この1本、北海道の飯米『ななつぼし』と蔵付き酵母の『D-29』で仕込まれています。

『ななつぼし』は飯米としては粒が硬く、食味があっさり。

北海道では15年以上もの間、作付面積トップを走る『飯米』です。

 

そんな北の大地の宝が、秋田県で日本酒になりました。

 

その味わいは、若々しい酸に深い甘みとうまみ。

口当たりはきれいすぎず、灰色のうまみがふっくらと届きます。

飲みごたえは感じますが、飲みにくさはゼロです。

むしろ仄かなガスも手伝って、大納川らしい飲みごたえがたまりません。

 

個人的には、ハートラベルよりも推し。

ですがハートラベルもまた、推し。

『不動のエース』とならぶ2枚看板で良いのではないかと本気で思うくらい、大好きな1本です。

 

「北斗七星のように輝いてほしい」という願いから名付けられた『ななつぼし』。

遠く秋田で、いましっかりと輝いていますよ。

 

この輝きを、ぜひあなたにも。

 

大納川天花 純米吟醸 無濾過原酒 秋田酒こまち(大納川)

この流れで外すことなどできますまい。

8本目も大納川から。

『不動のエース』『ハートラベル』こと、

『大納川天花 純米吟醸 無濾過原酒 秋田酒こまち』です。

 

これまでは生酒しかなかったのですが、2025年4月より火入れが登場しました。

この『4月』がたまたまなのか。

それとも、この先も『4月発売』でいくのか。

定かではありませんが、そこにあるなら紹介したいじゃない!

そんな1本です。

 

『秋田酒こまち』×『蔵付き酵母D-29』の組み合わせは夏酒の『金魚ラベル』とおなじ。

ですが、あちらは白麹を使っており、酸に大きな特徴があります。

ではこちらの『ハートラベル』はというと、

 

“This is 大納川”

 

秋田酒こまちを55%まで精米した、秋田では当たり前に見かける純米吟醸……にはなりません。

上品な甘みのなかに、濃密さ。

ふんわり来るのにジューシーで、品があるのに飲みごたえもあります。

口当たりの明るさも健在で、火入れでもフレッシュが溢れる1本です。

 

この“みっちりとした甘み”は、大納川ならでは。

蔵付き酵母にしか出せない香味が、口のなかを満たしてくれますよ。

 

大納川へ、ようこそ。

 

福禄寿 純米吟醸 桜名月(福禄寿酒造)

毎年待ってます。これからも追いかけます。

9本目は、3月30日に解禁される早咲きの桜。

『福禄寿 純米吟醸 桜名月』です。

 

井川町の農業法人ローカルフレッシュが栽培する『秋田酒こまち』を、

『福禄寿酒造』で醸し、

エフエム秋田『ハナキン桜庭編集部』のパーソナリティがサポートすることで生まれました。

誕生はイチ企画。

ですが、試みが途絶えることはなく、2025年で9年目を迎えています。

 

その味わいは、秋田酒こまちを50%まで磨いているので純米大吟醸クラス。

2025年のものは酸がよく跳ね、ややドライ。

秋田酒こまちの美しさが、より食中酒として輝きます。

クリアな余韻が後をひき、次へ次へとグラスが進む1本でした。

 

これは余談ですが、『桜名月』は私の友人を酒飲みにしてくれた1本です。

というのも私の友人、お酒を飲む習慣がありませんでした。

飲んだとしても、私と居酒屋に行ったときだけ。

日本酒は超辛口の『ど辛(山本酒造店)』以外、受けつけませんでした。

そんな友人が、『桜名月』を飲んで唸ったんです。

 

「うまい」と。

 

それから友人は、好み関係なく日本酒を飲むようになりました。

そのため、私にとっては“酒飲みの友”をくれた1本。

「おいしい」だけでは終わらない、感謝の1本なんです。

 

だから推します、春一本。

 

鳥海山 純米吟醸生 秋田酒こまち(天寿酒造)

大トリを飾るのは、6月発売からどんどん前倒しになり、ついに4月に突入した1本。

『鳥海山 純米吟醸生 秋田酒こまち』です。

 

「あれ? 私の知ってる鳥海山と何かちがう」

 

と思われた方もいるのではないでしょうか。

実は、『鳥海山』というブランドは2種類あるんです。

ポイントは、縦書きか横書きか。

『鳥海山』という銘柄はスーパーやコンビニでも見かけますが、あちらは横書きです。

縦書きの『鳥海山』は、特約店限定品となります。

 

今回の1本は、縦書き鳥海山。

『秋田酒こまち』×『きょうかい1401号酵母』に合わせる個性は、『低アルコール』です。

そのアルコール度は、14度。

15度が主流のいま、誤差に聴こえるかもしれません。 

 

ところがどっこい。

 

この『たった1度の差』が驚きの飲みやすさを生んでいるんです。

みずみずしい口当たりから顔を覗かせる白ぶどう。

刺激のないスムーズな喉越しで、するすると飲ませます。

舌に沈むコクがないので、いい意味で後をひく1本でした。

 

ただ、味の季節感でいけば『夏酒』なのかもしれません。

飲むのならは、ぜひ5月以降。

「えーー、明日20度超えるの!?」

そんな日に楽しんでみてくださいね。

 

まとめ:日本酒の四季は早く、秋田の春も短くなってきている。過ぎ去る前に、ぜひ。

ここまで駆け足で紹介してきましたが、気になる1本はありましたか?

 

まだ冬過ぎぬ頃に登場し、早まる夏の侵攻に消えていく春酒。

重すぎず軽すぎず、不思議と快晴の空が似合うものばかりです。 

 

花見で1杯。

友と1杯。

恋人と1杯。

 

ぜひ笑顔の席で、語らいを肴に楽しんでくださいね。

この記事は5月下旬に書いているのですが、私もまだ間に合うはず。

ギリギリまで春酒を楽しみたいと思います。

もちろん、笑顔の席で。

 

それでは今回はこのへんで。

長い文章を読んで疲れたかと思います。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。

ではでは。

 

※夏のおすすめはこちら

 

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