こんばんは、いしかわです。
天寿の鳥海山シリーズといえば、いろんな賞を獲得している純米大吟醸が有名ですよね。
横書きで大きく『鳥海山』と書かれていて、一目でわかる天寿ブランドです。
とはいえ、今回紹介していくのは“縦書きの鳥海山”。
鳥海山の文字はちいさく、背景には景色が描かれています。
はたしてこの1本……
横書きの鳥海山と何がちがうのか。
ちょっと詳しくみていきましょう。
縦書き『鳥海山』ってこんなお酒
実は縦書き『鳥海山』って、取り扱いは特約店限定。
スーパーや酒の英雄、やまやなどでの取り扱いがありません。
酒屋さんのなかでもいわゆる『地酒屋』と呼ばれる、ごくわずかな店舗のみに卸しているシリーズです。
そんなシリーズのなかでも今回の『秋田酒こまち生』は、アルコール度数がちがいます。
その数値、なんと14度。
16度が主流だった平成から、15度の令和へ。そこからさらにワンランク進化させた、低アルコール化の流れに乗った1本です。
酒米には、天寿といえばこの名は外せません。
『天寿酒米研究会』の秋田酒こまちを全量使用。
酵母にはK‐1401酵母が選ばれています。
この『K‐1401酵母』は『金沢酵母』とも呼ばれ、酸が少なく、バナナのような香りが期待できる酵母です。
香りの高いお酒ができるので、いまでも吟醸系のラベルで見かけることは多いのではないでしょうか。
とはいえ『金沢酵母』って、なんだか不思議な響きですよね。
6号酵母は新政の蔵から分離されましたが、新政酵母とはあまり呼びません。
7号酵母もおなじです。真澄の蔵から分離されましたが、真澄酵母という呼び方は浸透していません。
なのに、なぜ『金沢酵母』なのか。
「蔵じゃなくて地方の名前やん」
と思いますよね。
実はこの『金沢酵母』、『金沢の国税局』で保管されていた酵母なんです。
正式名称は、『金沢国税局鑑定官室』。
長いし漢字ばかりなので、もうこのブログに登場することはないでしょう。
とにもかくにも、国税局で保管していた酵母を分離し、全国に配布したもの。
それが『K‐1401酵母』。
通称『金沢酵母』なんです。
というむずかしい話はさて置いて、はたしてこの1本。
バナナの香りはするのでしょうか。
味の感想に移っちゃいましょう。
『鳥海山 純米吟醸 秋田酒こまち生』を飲んでみて
この1本の味わいを一言であらわすのならこうなります。
“白ぶどう”
バナナのような南国感というよりは、南ヨーロッパ。白ワインのよう、というのが頷ける香りです。
口当たりにトゲはありません。
アルコールがきたぞ!という感覚は薄く、みずみずしさから顔を覗かせる白ぶどう。
主流の15度から1度落としたことが、おどろきの飲みやすさを生んでいます。
たった1度。されど1度です。
この小さな差がくれる“刺激なくスムーズなのど越し”が楽しい1本でした。
『鳥海山 純米吟醸 秋田酒こまち生』の商品情報
- 使用米:天寿酒米研究会『秋田酒こまち』
- 精米歩合:55%
- 酵母:K‐1401酵母
- 日本酒度:+3
- 酸度:1.7
まとめ:この軽快さは春から夏。晩夏まで楽しみたい1本。
この1本の発売時期は4月と、秋田では春が目覚める頃。
気温はまだ10℃台の日が多く、着る服に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そんな時期に、迷うことなく手に取りたくなる1本です。
日本酒はもうすっかり春ですね。
暖かくなるとついビールにいきがちですが、この『鳥海山』の軽さもぜひ、ですよ。
それでは今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ではでは!
※春夏多めで飲みやすい日本酒をまとめておりますので、合わせて読んでみてね。