こんばんは、いしかわです。
冬から始めて春、夏と、個人的におすすめしたい秋田の地酒を紹介してきました。
残るは秋のみです。
「パパッとやっちまいましょうぜ」
そう勇んで書き出すも、書けない。
どうしても秋はモチベーションが上がりません。
なぜなら、魔物がいるから。
『ひやおろし』という、季節感のかたまりがいるからです。
ひやおろし×秋の味覚=幸せ
これ以上、何を書くことがありましょうか。
ここで結んでもかまわないくらいでしょう。
が。
しかし。
But!
あるんです。
どうしても飲んでいただきたい1本が。
「これを紹介せずに結べるものか」
という1本が、秋も続々と出てくるんです。
ということで、私のモチベーションなどどうでもいいので早く本題に入ってしまいましょう。
秋におすすめしたい秋田の日本酒5選
どうしてもおすすめしたい『1本』と言いつつ『5本』紹介していきます。
今回は、8月後半から10月までに発売されるものを中心に選びました。
その年によって発売月が異なるものは、申し訳ないのですが避けています。
曖昧なものも同様です。
それではしばし、お付き合いくださいませ。
翠玉 純米吟醸 山田錦(両関酒造)

1本目は、花邑が有名な両関酒造から。
『翠玉 純米吟醸 山田錦』。
発売時期は、9月下旬ころです。
『翠玉』シリーズの特徴は『原材料を秋田県産にこだわる』ところにあるのですが、ついに来ました。
“秋田県産山田錦”。
寒冷地では不向きとされてきた山田錦を、湯沢市山田地区にて栽培。
2018年の発売以来、2025年で8期目をむかえます。
年々、認知度も期待度もあがってきていて、「毎年の楽しみ」という方も多いのではないでしょうか。
その味わいは、中口なうまみがしっとり。
やや謙虚なうまみに、フルーティーさが美しく香ります。
米の『濃さ』という点でいえば、兵庫県産には劣るかもしれません。
ですが、寒冷地ならではの佇まい。涼のあるうまみは、なめらかで豊かさがあります。
甘みが重くならず、うまみはしっとりと伸びる。
時間をかけて飲みたい、秋にぴったりの1本ですよ。
角右衛門 特別純米 Cry for the moon(木村酒造)

2本目は、『福小町』の木村酒造から。
『角右衛門 特別純米 Cry for the moon』
発売時期は、9月9日です。
角右衛門は地酒屋さん限定のシリーズですが、この1本はぜひ飲んでほしい!
なぜなら、可愛いから。
聴き逃した方がいるかもしれないのでもう一度いいます。
可愛いからです。
現場からは以上です。
さて、伝えたいことの9割は伝えてしまいましたので、ここからは残りの1割をいきましょう。
この『Cry for the moon』は、酒米に『吟の精』と『ぎんさん』を使用した特別純米酒です。
大きな特徴はこれでしょうか。
“酵母のブレンド”
2種の酒米と複数の酵母をもちいた、ちょっと珍しい1本なんです。
その味わいは、素朴でホッとするうまみ。
『落ちつき』がそのまま味となっています。
『派手さ』『華やかさ』は一歩退き、『おだやかさ』が一歩前へ。
季節が変わったことを告げる1本ですよ。
ちなみにですが、『Cry for the moon』にはこんな意味があります。
“不可能なことを願う”
あえてこの名を冠することで、蔵人たちに『理想を求めることの大切さ』を課したのだそうです。
可愛らしいデザインの裏にある覚悟もまた、この1本の魅力なのかもしれません。
大納川天花 純米大吟醸生 月ラベル(大納川)

3本目は、いま勢いのある『大納川』から。
『大納川天花 純米大吟醸生 月ラベル』
発売時期は……
……
…
不明です。
いや、違うんです。ちょっと待ってください。私も困惑してるんです。助けてください。
この記事を書いている2025年8月時点で、『月ラベル』の火入れがすでに発売されています。
しかも、1月発売の『流れ星ラベル』を半年寝かせたものとして、です。
そのため、去年の『月ラベル』とはスペックが違います。酒米が違うんです。
いわば別物。
どうしたものか……。
いちおう2024年は、10月初頭に『生酒』が発売されているので紹介させてください。
『月ラベル生』は、『秋田酒こまち×蔵付きD-29』の鉄板コンビを使用した1本です。
味わいは、強い甘みに感じる穀物感がやさしくてやわらか。
甘みがスッと切れるので、ボディがありつつも飲み疲れません。
生酒とはいえ、個人的には常温寄りがオススメです。
甘みがよりくっきりとしてきますよ。
大納川の蔵付き酵母は唯一無二の香りのなので、ハマれば沼です。
まずは1本、ここから始めてみてはいかがでしょうか。
まんさくの花 純米大吟醸 超限定(日の丸醸造)

4本目は日の丸醸造から、年2回発売の人気酒。
『まんさくの花 純米大吟醸 超限定』
発売時期は、10月上旬です。
この1本、外せません。
『山田錦』と『秋田酒こまち』をバランスよく使用していて、味わいもその良いとこ取り。
日本酒度±0の中口ですが、甘みにしっかりと質感があるのでボディが強いです。
が、不思議なもので……!
濃くも透明感があるんです。
だから総じて、きれいな甘みが目立ちます。
後味にはほどよい苦みと渋み。それがキレの代わりになるので、飲み疲れにくいのもうれしいですね。
この『超限定』と出会って10年は経つと思いますが、はじめて見たときの感想は今でも覚えています。
「これ、どこの酒だ?」
ラベルが『らしくなくて』、まんさくの花だとは思わなかったんです。
その意外性からの付き合いで、はや10年あまり。
ずっと人気で、ずっとおいしい1本です。
見かけたらぜひ手に取ってみてくださいね。
純米吟醸 裏 翠玉(両関酒造)

5本目はまたも両関、『翠玉』の1本。
『純米吟醸 裏 翠玉』
発売時期は10月上旬頃です。
『両関といえば甘口』というイメージの逆をいく、大きい声ではいえませんが……
『裏』でございます。
『特別純米酒』との同時発売だったのですが、ここではあえて片方だけ。
『純米吟醸』を取りあげたいと思います。
この『純米吟醸 裏 翠玉』は、日本酒度+3と『やや辛口』です(2024年の数値)。
いずれの『花邑』も−6を下回る大甘口なので、くらべれば『より辛口』といったところでしょうか。
両関酒造のなかでもやや異端な立ち位置になります。
その味わいは、ファーストタッチから濃厚。
フルーティーさから仄かにうまみが膨らみます。
このうまみが、しっとりきれいなんです。『翠玉 山田錦』を思い出す味わいです。
さらに、そこからすっきりとした後味に向かう道のりが抜群で……!
余韻までおいしく、幸せなひとくちでした。
両関酒造にはRzシリーズの『DRY EVOLUTION(通称ドラエボ)』がありますが、あちらの日本酒度は+8ほど。
ただ、2024年の発売はありませんでした。
このまま終売になるのかはわかりませんが、より辛口を求めるのならドラエボを。
やや辛口を求めるのなら、この『純米吟醸 裏 翠玉』をオススメします。
どちらも地酒屋さん限定流通なので、見かけたときがチャンスですよ。
各種ひやおろし(やまとしずく、爛漫、うまからまんさく、FOURSEASONS、刈穂等)
冒頭で、「拙者、ひやおろしがあるから書きたくないでござる!」とお伝えしましたが、そうです。
ひやおろしがあるんです。
個人的にオススメしたいのは、
- やまとしずく(秋田清酒)
- 爛漫(秋田銘醸)
- うまからまんさく(日の丸醸造)
- FOURSEASONS(飛良泉本舗)
- 刈穂(秋田清酒)
飲み比べれば、『やまとしずく』の純米吟醸としての品質におどろきます。
静かに沁みて広がるフルーティーさは、生酒にはない深みです。
やまとしずくにハズレなし。
まさに、だと感じますよ。
『爛漫』は、どこでも買えると侮るなかれ。
『飲みごたえ』という重みを抜群のバランスで飲ませてくれて、その味わいにはカドがありません。
華やかさは感じず、ひたすら実直。
秋の味覚にあわせるための1本!という印象を受けました。
『うまからまんさく』は、辛口好きにマストな1本。
丁寧に寝かせた+8度前後の辛口は、秋の味覚にドンピシャリ(死語)。
この1本で大抵の食卓は乗りきれます。
『うまくて辛い』を偽りなく突き進む1本です。
まだ飲んでない方は今年から。
飲んだことのある方は今年も。
ぜひ、お世話になってみてはいかがでしょうか。
『FOURSEASONS』の秋は食中酒。
シリーズのなかでは辛口で、そこに山廃らしい酸とうまみが合わさります。
そのため、いい意味で透明感がありません。
ゆったりと流れゆくうまみには、秋の空気と味覚が似合います。
きのこ、鍋、サンマ……
よだれが出ますね。
そして、単体でもスイスイ飲んでしまったのが『刈穂』です。
やや辛口で甘み少なく、うまみが伸びやか。
口当たりがすっきりしているせいか、山廃ながらするするといけました。
フワッとした余韻に至るまでがスムーズなので、『変わっていく味わい』が心地よい1本です。
単体でも、秋の味覚とでも。
ぜひどうぞ。
まとめ:秋の地酒は食中酒向き。食欲の秋のお供にどうぞ。
実はこの記事、まだ道半ばです。
当初の予定は7選。
2本ほど足りていません。
というのも残りの2本、私の感想が古すぎました。
いったいいつ飲んだのか。
振り返れば、写真は前の前のスマホで撮ったものですし、感想も若いったらありません。
読み返したら失った年月が蘇ってきてシュンとしました。
ということで、あとの2本は追記します。
うち1本は10月末頃発売と機を逃してしまいますが、それでも後年の誰かの役には立てるはず。
ぜひあなたも、長い目で見ていただけるとうれしいです。
夏はビールで喉を潤した分、秋は日本酒でキューっといきましょう。
それぞれの季節でおすすめのお酒をまとめているので、また見に来てくださいね。
それでは、長々とお付き合いいただきありがとうございます。
今日もよき晩酌を。
ではでは。
※「まだあっついわ!」という方はこちらを読んでみてね。
※「もう寒いわ……」という方はこちらへどうぞ。