こんばんは、いしかわです。
秋田で『酸』といえば飛良泉。
白麹のあつかいに長けていて、なかでも『飛囀』シリーズは飛び抜けた酸度が有名です。
そんな飛良泉が貴醸酒をつくったら。
甘さに振ったお酒をつくったらどうなるのか。
こうなりました。
『飛囀 鵆』ってこんなお酒
今年はじめて発売されるような雰囲気で書き出しましたが、実は前年も存在していた『鵆』。
今年は造りが前年と大きく変わっています。
まずひとつめが、酵母です。
前年までは蔵付き酵母の『はま矢酵母』をつかっていましたが、今年から『きょうかい酵母No.77』に。
この酵母は『飛囀』シリーズの『鵠』にもつかわれています。
『鵠』といえば、やっぱり酸ですよね。
酸度5.0を超えるものもあるほど、酸に特化したブランドです。
さらに、『鵆』『鵠』ともに『秋田酒こまち』を採用しているので、互いの裏ラベルを見ると似ている点が目立ちます。
が。
しかし。
But!
ここが大きく変わった点の2つめになります。
なんと『鵆』は白麹不使用。
酸度の高い酒には不可欠なイメージのある白麹を、『鵠』との違いを出すため使わなかったんです。
そしてもちろん貴醸酒なので、留仕込みには水の代わりに日本酒が加えられています。
この日本酒こそが、前年からの変更点の3つめ。
『4BYの山廃酛』による仕込み、です。
乳酸の強く出ているものを使っているので、貴醸酒の枠におさまらない酸を実現しました。
といった感じで、毎年のようにブラッシュアップを続ける『鵆』。
たぶん来年もまた異なる造りをするのだろうと思いつつも、飲んでみました。
『飛囀 鵆(ちどり)』を飲んでみて
まずこれだけは言わせてください。
「あまーーーーい!」
豊富な酸でカバーしているけど、カバーしきれない甘さ!
確かに数字ほどではないし、むかし新潟で飲んだ−28のお酒よりも甘みは少ないです。
ですがやっぱり、どう転んでもひとくちめは激甘。
貴醸酒に偽りなしです。
ところが。ところがですよ。
2口目がおもしろいんです。
ひとくちめの余韻が残ってるうちに飲むと、酸が際立ちます。
「あ、やっぱり飛良泉だ、これ」
となります。
アルコール度も13度と低めなので、舌に重みも感じません。
男性と女性。世代や好みで感想は割れるとは思いますが、飛良泉らしさが楽しめる貴醸酒です。
飛囀シリーズが好きな方に突き刺さること間違いなしですよ。
『飛囀 鵆(ちどり)』の商品情報
- 原料米:秋田県産「秋田酒こまち」100%
- 精米歩合:60%
- アルコール度:13度(原酒)
- 日本酒度:−36
- 酸度:3.2
- 参考価格720ml:2,200円
まとめ:毎年ブラッシュアップされていくので、今年の味わい、今年のうちに
改めて、白麹を使わず酸度3.2というのはとんでもない数値ですよね。
いち早く酸で突き抜けてきた飛良泉だからこその挑戦。それも他社ではなく、自社の飛囀シリーズに挑んだ意欲作でした。
とはいえ日本酒度をみてわかるように、相当の甘口です。
なので、声を大にしてオススメはしません。
この1本は間違いなく人を選びます。
特にふだん辛口を好まれる方に勧めるつもりはありません。
ですが、甘口を好まれる方。
あなたにはオススメさせてください。
この『鵆』は、あなたにオススメですよ。
ではでは!